「寝る子は育つ」といわれますが、子どもに必要な睡眠時間をご存知ですか?
睡眠不足は成長の遅れや集中力の低下だけでなく、心の発達にも大きく影響します。
子どもの健やかな眠りのために、親として知っておきたいことをまとめました。
子どもは何時間眠ればいいの?
私たちが子どもの頃は、夜9時頃になると「早く寝なさい」といわれたもの。「まだ眠くないのに」と思うこともありましたが、小学校低学年では夜9時頃に寝るのが理想かもしれません。
文部科学省の検討会資料によれば、小児期に必要な標準睡眠時間は、7歳で10時間30分、9歳で10時間、11歳で9時間30分です。学校がある日は朝7時に起きなければならないとすると、夜9時までに寝なければ10時間の睡眠を確保できないことになります。
子どもの睡眠には3つの重要な役割がある
小さい子どもほど必要な睡眠時間は長くなりますが、睡眠には大きく分けて3つの役割があります。
1)成長ホルモンの分泌を増やす
成長ホルモンはその名の通り、子どもの身体の成長を促すホルモンで、睡眠中に分泌が増加します。骨や筋肉を発達させるほか、脂肪の代謝を促進したり、免疫力を高めたりする作用があります。
2)記憶の整理と定着
睡眠には脳と身体を休ませる「ノンレム睡眠」と、脳が活発に動く「レム睡眠」の2種類があり、レム睡眠中に1日の出来事や学んだことを整理しながら記憶するとされています。
3)脳と身体の疲労回復
子どもは生きているだけで大人よりも疲れます。例えば、赤ちゃんは見るもの聞くものすべてが新鮮なので、脳は膨大な情報を処理するのに大忙し。身体の成長にもたくさんのエネルギーを使うため、十分な睡眠によって脳と身体を休ませる必要があるのです。
睡眠不足が学力低下の原因に
睡眠が足りないと、大人でも頭がボーっとして仕事の効率が低下してしまいます。子どもの場合、それが眠気のせいだと認識できず、イライラしたり怒りっぽくなったりすることがあります。
眠気をこらえて登校しても、もうろうとした状態では授業に集中できません。子どもの睡眠時間と成績の関係については国内外で多数の報告があり、おおむね「睡眠時間が長い子どもや就寝時間が早い子どもほど成績が良い」とされています。
また、睡眠不足の子どもは肥満になりやすいことも知られています。ホルモン分泌の調節がうまくいかないためと考えられますが、子どもの肥満は生活習慣病を合併するケースが多いといわれています。
健やかな眠りのために「早起き」から始めよう
睡眠不足が心配だからといって、いつも夜10時に寝ている子どもに、夜8時に寝なさいといっても難しいかもしれません。「早寝・早起き」といわれますが、生活リズムを整えるには「早起き・早寝」が近道です。
朝早く起きて日光を浴び、朝ごはんをきちんと食べると身体のリズムが整います。私たちの身体は朝の光を浴びることで体内時計がリセットされ、そこから14時間くらい経つと徐々に眠気を感じるようにできているのです。
朝食も大切で、たんぱく質に含まれるトリプトファンから、日中の活動をサポートするセロトニンという物質がつくられます。さらに夕方になるとセロトニンがメラトニンに変化し、眠気を促します。
子どもの睡眠習慣で大切なのは、休みの日もできるだけ決まった時間に起きること。週末にお昼頃まで寝てしまうと、せっかく整ってきた身体のリズムが崩れてしまうので注意しましょう。
まとめ
小学生の睡眠時間は9~11時間が推奨されています。ただし、必要な睡眠時間には個人差がありますので、「〇時間寝なければならない」「〇時間寝たから大丈夫」と考えるより、我が子の様子をきちんと観察することが大切です。昼間眠そうにしていたり、怒りっぽかったりするときは、睡眠が足りていない可能性があります。
たいていの子どもは朝型の生活のほうが調子が良く、成績も上がりやすいことが統計的に示されていますので、子どもの睡眠習慣を整えることで、子育ての悩みの多くが解決するかもしれません。
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