骨密度というと、主に中高齢女性が気にするイメージかもしれませんが、実は近年、子どもの骨密度の低下も問題視されています。
昔に比べて子どもたちの骨が丈夫とはいえず、さらに子どもの骨密度はお母さんに似るともいわれているのです。
昔に比べて、骨折する子どもが増えている
独立行政法人日本スポーツ振興センターの「学校の管理下の災害」によると、30年前に比べて小学生から高校生までの子どもの骨折は1.5倍に増えているといいます。
これは、子どもたちの骨密度が低下している根拠のひとつと考えられます。理由はさまざまで、食生活の変化、身体の成長の変化、運動習慣や運動そのものの変化などがあり、そのひとつに遺伝もあげられています。
出典:『学校の管理下の災害』(独立行政法人日本スポーツ振興センター)
https://www.jpnsport.go.jp/anzen/kankobutuichiran/tabid/1961/Default.aspx
お母さんの骨密度は子どもに影響する
川崎医科大学婦人科学2特任教授の太田博明先生が発表した研究データによると、母親と娘の間に骨密度の相関性があるということがわかりました。
骨密度が高い母親の娘は骨密度が高く、骨密度が低い母親の娘は骨密度が低い傾向にあることが明らかになったのです。
出典:Jミルク「学乳スクエア」
https://www.j-milk.jp/tool/h4ogb40000000xkv-att/hone_shiryou.pdf
さらに桜花学園大学の研究結果でも、少なくとも幼児期の女の子にはお母さんからの遺伝的素因がかなり大きなウエイトを占めていると指摘しています。
出典:桜花学園大学
https://ohka.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=104&file_id=22&file_no=1
20~30代のお母さんたちは、幼い頃からすでに食生活が欧米化し、魚食の減少、コンビニ食増など、すでに大きく変化していた世代です。さらに20〜30代の女性は、カルシウム摂取量が60歳以上に比べて全体的に少ない傾向にあるといいます(厚生労働省「国民健康・栄養調査」平成27年)。
そのため、若くても骨が弱っている可能性がおおいにあるのです。
親のライフスタイル、食生活や栄養知識、教育方針が大切に
子どもは親のライフスタイル、食生活や栄養知識の影響を大きく受ける傾向があります。親が骨の栄養が足りていないと、子どもも同じように栄養不足になってしまうということです。
昨今は時代の流れもありますが、外で遊んだり運動したりする時間は減っていませんか?
すると、必然的に外で日光を浴びる機会も減ってしまい、気づかないうちに骨を丈夫にする習慣が減ってしまっているのです。
子どもの成長過程で、骨密度は高められる
ただ、心配しすぎることはありません。たとえお母さんの骨密度が低かったり、子どもの幼少期に低かったりしても、骨密度は食事や生活習慣を見直すことで高められるものです。
子どもの骨の健康のために、お母さんが意識的に骨の健康に注視して、骨の成長を意識した食事を取り入れ、運動や外で遊ぶなど骨の強化につながる生活習慣を積極的に促してあげることが大切です。
<まとめ>
近年はコロナ禍での外出制限もあり、子どもの外遊びを控えるお母さんも増えています。そのため、今まで以上に日光浴が減って、骨の成長につながるビタミンD不足になるなど、子どもたち世代の骨の栄養不足が懸念されています。
子どものためのケアといえども、ひいては自分のため。将来につながる骨のケアを始めていきましょう。