女性は月経(生理)があるため、鉄が不足しやすいのはご存知でしょう。カルシウム不足もよくいわれることですね。
でも実は、ほかにもたくさんの栄養素が不足している可能性があるのです。
今回は、厚生労働省の「令和元年 国民健康・栄養調査」をもとに、女性に不足しがちな栄養素と、その原因について解説します。
30~40代女性の多くが栄養不足
まずは、30代女性の主な栄養素の摂取状況を見てください。
上の表は、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の数値に対して、実際の摂取量(中央値)がどれくらい満たしているかの割合(%)です。
これを見ると、ビタミンA・D・B1・B2・C、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄が特に不足していると分かります。食物繊維やビタミンB6も、もう少し摂ったほうが良いですね。
40代女性でも似たような状況なので、30~40代女性は、毎日の食事から十分な栄養素が摂れていない人が多いといえるでしょう。
そもそもエネルギーが足りていない
30~40代女性では、体型が気になり、食事の量を抑えている人も少なくありません。「令和元年 国民健康・栄養調査」によれば、30代女性のエネルギー摂取量の中央値は1,642kcal。70代女性は1,725kcalなので、83kcalも少ないことになります。
エネルギー摂取量が少ない理由のひとつは、朝食をきちんと食べないこと。一度に食べられる量には限りがあるため、朝食を抜いたり、菓子パンや野菜ジュースだけで済ませたりすると、1日に必要なエネルギーや栄養素が不足するリスクが高まります。
また、米などの炭水化物を控える人が増えていますが、炭水化物には糖質だけでなく食物繊維も含まれます。美容と健康のためには、過度な糖質制限より、食物繊維やミネラルを多く含む玄米や大麦(押麦・もち麦)、全粒粉のパンやパスタの摂取量を増やすほうが良いでしょう。
野菜類・豆類・魚介類・乳製品を増やそう
ビタミンやミネラルが不足する原因として、野菜不足や魚離れも挙げられます。
野菜は1日350g以上食べると良いといわれますが、30代女性の摂取量(中央値)は203.5g。40代でも219.2gと、100g以上不足しています。特に緑黄色野菜はビタミンAの重要な供給源で、目標は1日120g程度ですが、30~40代女性では、その半分も食べていない状況です。
また、ほうれん草や小松菜のような緑の葉野菜には、カルシウムや鉄といった不足しがちなミネラルも含まれます。カルシウムと鉄の栄養状態は、大豆食品や乳製品の摂取量も大きく影響するため、これらの摂取量を増やすことも大切です。
さらに、カルシウムの吸収を助けるビタミンDの主な摂取源は魚です。骨の健康を守るために、魚を食べる回数を増やしましょう。どうしても魚が苦手という方は、きのこ類もビタミンDを豊富に含んでいますのでおすすめです。
主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を
ビタミンA・D、鉄、カルシウム以外にも、ごく平均的な30~40代の女性の食生活では、不足していると考えられる栄養素がたくさんあります。それらをすべて気にしながら食材を選んだり、メニューを考えたりするのは大変です。
そこでおすすめしたいのは、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を心がけること。「主食」はごはん・パン・麺類、「主菜」は肉・魚・卵・大豆・乳製品など、「副菜」は野菜・芋・きのこ・海藻などで、主食は炭水化物、主菜はたんぱく質、副菜はビタミン・ミネラル・食物繊維を含んでいます。
例えば、ランチにコンビニのおにぎり(主食)とカップ麺(主食)を食べている人は、カップ麺のかわりに、ゆでたまご(主菜)と野菜サラダ(副菜)にしてはいかがでしょうか。牛丼(主食と主菜)の人は、サラダ(副菜)を付けると栄養バランスが整いやすくなります。また、ランチで肉を食べたら夜は魚にするなど、色々な食材をまんべんなく食べることも大切です。