
「8020運動」という用語をご存知でしょうか。「ずっと自分の歯で食べられるよう、80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という意味の数値目標です。自分の歯を保つために、食べ物で歯を強くすることはできるのでしょうか?歯に良い栄養や食品を解説していきます。
歯を強くする栄養素とは?
歯を強くする食べ物を考える上で、栄養素としては何が重要なのでしょうか。
カルシウム
歯のためにカルシウムを摂りましょう、と言われたことがありますか?カルシウムは歯を石灰化して歯質を強化しますので、歯を強くする観点でとても重要な栄養素です。歯の大部分を占めている「象牙質」の多くはカルシウムから成り立っています。そのため、極端にカルシウムが不足すると歯がもろくなってしまいます。
マグネシウム
マグネシウムは、骨や歯の成長を強化します。また、マグネシウムはカルシウムとセットで摂りたい栄養素です。実は、カルシウムは歯の強化に重要である一方で、カルシウムがずっと歯の表面に残ると、歯周炎・歯周病の原因となることがあります。マグネシウムは、働きが終わったカルシウムを外へ排出する作用がありますので、カルシウムとともにマグネシウムもしっかり摂ることが大切です。
ビタミンD
ビタミンDにも歯の石灰化を補助する役割があります。加えて、カルシウムが代謝される際に、ビタミンDはカルシウムがきちんと吸収されるようサポートします。この原理は身体の骨でも同じです。ビタミンDはカルシウムとともにぜひ摂りたい栄養素です。
ビタミンA、ビタミンC
ビタミンAやビタミンCは、歯のエナメル質や象牙質の元となる成分です。また、ビタミンAやビタミンCは免疫機能を強くします。ビタミンAやビタミンCが不足すると口の中の免疫力が低下し、歯ぐきが腫れたり、出血しやすくなったりと歯周病のリスクが高まります。
歯を強くする食べ物

カルシウムやマグネシウム、ビタミンなどが豊富に含まれ、歯に良い食べ物をご紹介します。
乳製品(チーズやヨーグルトなど)
カルシウムが多く含まれる食べ物といえば、何といってもチーズやヨーグルトの乳製品ですね。チーズは、口の中が酸性に偏っているときにアルカリ性をもたらす効果があり、これが虫歯の予防にもつながります。ヨーグルトの乳酸菌には抗菌作用があり、口の中の細菌を減らすことで虫歯や歯周病の予防に貢献します。
海藻類やナッツ類
海藻類やナッツ類には、マグネシウムが多く含まれます。海藻類やアーモンドは、チーズと同じように口の中の偏った酸性をアルカリ性に変えてくれます。
魚類やきのこ類
魚類やきのこ類には、ビタミンDが多く含まれています。カルシウムとともに摂ることで歯の強化につながります。
緑黄色野菜
にんじんやほうれん草はビタミンAを多く含み、ピーマンやブロッコリーはビタミンCを多く含んでいます。こうした緑黄色野菜は、歯のエナメル質や象牙質となるだけでなく、免疫力を上げることで口の中を健康にします。
歯を強くする飲み物

歯を強くする飲み物として知られているのは牛乳や緑茶やウーロン茶です。牛乳にはカルシウムがたっぷり入っていますので、歯の強化に役立つ飲み物といえます。また、緑茶やウーロン茶には、ポリフェノールやフッ素などが含まれ、抗菌作用により歯垢の発生を抑えます。緑茶にはカテキンが含まれており、口内の細菌を抑制してエナメル質を保護すると考えられています。
虫歯にならないための間食
間食は虫歯の大きな原因となりますが、間食のメニューにも歯に良いものと良くないものがあります。歯に良いのは、口の中に停滞しないヨーグルトなどの乳製品やゼリーです。口の中を酸性にしないという点でチーズもおすすめです。もちろん食べた後は歯みがきなどの歯のケアをしっかりしましょう。また、虫歯の原因とならない甘味成分として、「キシリトール」や「リン酸オリゴ糖」などが知られています。
逆に、歯に良くないのは、口の中に停滞しやすいアメやクッキー、スナック菓子です。口の中を酸性にするシュガー入りガムやチョコレートも歯には好ましくない間食です。
まとめ
歯を強くする栄養素と食べ物をご紹介しましたが、カルシウムやマグネシウム、ビタミンDなどは、実は、歯に良いだけでなく骨にも良い栄養素です。骨の材料の基本はカルシウムですので、カルシウムが重要です。また、マグネシウムやビタミンDをカルシウムと一緒に摂ることで、カルシウムが吸収されやすくなります。
歯を強くするため、骨を強くするために、ご紹介した栄養素を摂っていきましょう!