甘いもの好きは要注意!?骨の質を下げる「糖化」の話

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「ケーキやチョコレートがやめられない…」「甘いドリンクを毎日飲んでしまう…」
そんな甘党の人にとって、血糖値の上昇や体重増加は身近な問題ではないでしょうか。
でも、糖分の取り過ぎが骨に与える影響について考えたことはありますか?

近年注目されている「糖化(とうか)」という現象と骨の関係を知れば、甘いものとの付き合い方が変わるかもしれません。

「糖化」とは?美容だけじゃない「AGEs」の影響

美容に関心がある人なら、「糖化」という言葉を聞いたことがあるでしょう。肌のシワやくすみの原因として知られる糖化ですが、その影響は「骨」にも及ぶことが分かってきました。

糖化とは、糖とたんぱく質が結びつくときに起こる化学反応(メイラード反応)のこと。パンを焼いたときに茶色くなる現象も糖化によるもので、小麦粉に含まれる糖分とたんぱく質が結びついた結果です。こんがり焼けたパンは良い香りがして美味しいですが、体内でこの反応が起こると、「AGEs(エイジス/エージーイー)」と呼ばれる「最終糖化産物」が生成されます。

骨はカルシウムの塊のように見えますが、たんぱく質であるコラーゲンにカルシウムなどのミネラルが沈着することで形成されています。そのコラーゲンと体内で余った糖が結びつくと、老化促進物質であるAGEsがつくられるのです。
このAGEsこそが、老化を早める犯人のひとつ。体内にAGEsが蓄積されると、肌のハリがなくなったり血管が硬くなったりするだけでなく、骨のしなやかさも失われ、もろくなってしまうのです。

糖化が進むと骨がもろくなるワケ

骨の強さを決める要因は「骨密度」が約7割、「骨質」が約3割を占めるといわれています。
骨質とは、文字通り骨の質のことで、その良し悪しは骨に含まれるコラーゲンの質で決まるといわれています。
血糖値が高い(糖が余っている)状態ではコラーゲンが糖化しやすいため、糖尿病の人では骨密度がそれほど低くなくても、骨質の劣化によって骨折しやすくなると考えられています。

健康な人でも甘いものを食べると血糖値が上がりますが、特に閉経後の女性や高齢者は要注意。骨を再生する力(リモデリング)が弱くなっているため、糖化によるダメージを回復しにくく、骨がもろくなりやすいとされています。

さらに、AGEsが骨をつくる細胞(骨芽細胞)の働きを弱めるという報告もあります。骨は古くなったら壊され、新しくつくり替えられますが、骨芽細胞が抑制されると、骨の再生バランスが崩れ、骨密度が低下する可能性もあるのです。

食習慣を見直して、糖化を防ごう!

骨に深刻なダメージを与える糖化を防ぐには、「余分な糖を摂らない」ことが大切です。スイーツや菓子パンのような甘いものを日常的に摂っている人は、それらを減らすだけでも糖化の進行を遅らせることができるでしょう。

適度な糖質はエネルギーとして必要ですが、食後の血糖値の上昇を緩やかにするために、よく噛んでゆっくり食べることも効果的です。
食物繊維の多い野菜や海藻類を先に食べる「ベジファースト」や、肉や魚などのたんぱく質食品から食べる「ミートファースト(プロテインファースト)」も、血糖値コントロールに役立つとされています。

さらに、運動すると糖の代謝が促進されるため、食後に軽く身体を動かすのも良いでしょう。
特にウォーキングや筋肉トレーニングは、骨密度対策としてもおすすめ。筋肉の収縮や地面を踏むときの「トントン」という刺激が骨に伝わると、骨をつくる骨芽細胞が活性化されます。

甘い誘惑、どう付き合えばいい?

骨の健康のためには、甘いものは食べないのがベスト。ただし、我慢が強いストレスになると、血糖値の上昇を招き、逆効果になることもあります。糖化対策は期間を決めて取り組めば良いというものではないため、無理なく続けられる工夫が必要です。

例えば、甘いものが食べたくなったら、次のようなおやつを選ぶのはいかがでしょうか。

◎果物、ドライフルーツ

果物に含まれる果糖は急激に血糖値を上げにくく、ビタミンや食物繊維を補えます。

◎ヨーグルト(プレーンタイプに蜂蜜で甘味をプラス)

蜂蜜は果糖が多く、牛乳に含まれる乳糖も血糖値を急激に上げにくい性質があります。骨の材料となるカルシウムの補給だけでなく、腸活効果も期待できます。

◎干し芋、甘栗

自然な甘味で、食物繊維やビタミンを補えます。

◎ナッツ類(アーモンド、くるみ、ピスタチオ)

糖質が少なく、質の良い油を多く含んでいます。よく噛むと甘味を感じ、満腹感も得られます。

甘いものは心の癒しでもありますが、摂り過ぎると糖化が進み、骨の老化を早めます。
健康的な食生活の目安では、おやつは1日200kcalまで。おやつを買うとき、食べるときはパッケージの表示を見るクセをつけ、甘い誘惑と上手に付き合っていきましょう。

管理栄養士・食育インストラクター 2000年からライター・編集者としてメディア制作に従事。業務を通じて食と健康に興味を持ち、2017年に管理栄養士資格を取得。現在は人間栄養学に基づいた健康記事の執筆活動を中心に、健康相談業務にも携わる。

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