健康維持に良いといわれているウォーキング。一人でも取り組みやすく、時間も自由がきくことから多くの人が挑戦しやすい運動ではないでしょうか。
けれど、歩くと脚が痛くなりウォーキングを続けられないという方もいます。
今回は、ウォーキングをするとなぜ脚が痛くなるのか、その原因と対処法を解説します。
歩くと健康によい!といわれるけれど
運動をよくおこなっていると、高血圧、糖尿病、肥満などの罹患率や死亡率が低く、メンタルヘルスの改善にも効果をもたらすとされています。
この運動のなかにはウォーキングも含まれ、10分程度のウォーキングを1日に数回おこなう程度でも、長期間続ければ健康上の効果が期待できるとされています。
そのため、厚生労働省は1日の平均歩数の目標を男性9,200歩、女性8,300歩程度としていますが、厚生労働省が発行している「国民健康・栄養調査結果の概要」によると、歩数の平均値は男性で 6,793 歩、女性で 5,832 歩と目標に届いていません。
ウォーキングなど運動の必要性を感じながらも、忙しくて歩く時間がないという方もいれば、歩くと脚が痛くて続けられないという悩みを抱えている方も少なくないのではないでしょうか。
歩き出すと脚が痛くなるのはなぜ?
「歩き出すと脚が痛くなる」、この症状で考えられる疾患に「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」があります。
間欠性跛行は、一定の時間や距離を歩くとふくらはぎなどにしびれや痛みが出て歩行が難しくなり、しばらく休むと治まります。しかし、歩き始めるとまた痛くなるのが特徴です。
原因として疑われるのは、神経性と血管性の2つ。
神経性は加齢などにより背骨が変形したり、椎間板が飛び出たり、靱帯が分厚くなったりして、背骨の神経が圧迫されて痛みが生じる「腰部脊柱管狭窄症」です。
血管性は「閉塞性動脈硬化症」で、脚の動脈硬化が原因で血流が悪くなり、筋肉が酸素不足になり痛みが生じます。
その痛み、疲労骨折が原因なことも
間欠性跛行ではふくらはぎなどに痛みやしびれが生じますが、痛む箇所がすねや足の甲などの場合は、疲労骨折が疑われます。
疲労骨折は、疲労の積み重ねにより骨に小さな亀裂が生じるものです。そのため、1回の大きな力で折れる通常の骨折とは違い、本人の自覚が乏しいのが特徴です。
「歩けないほどの痛みではない」と感じる方も少なくなく、ウォーキングを続けてしまいますが、それはまだわずかな亀裂程度だからです。痛みを無視して運動を続けると、やがて完全な骨折に至ってしまうので注意しなければいけません。
なかには、それほど歩いていない、まだウォーキングを始めたばかりという方もいるかもしれません。
骨密度が低いと負荷への抵抗力が弱くなるため、疲労骨折の発症率が高くなるといわれています。
つまり、運動量だけが原因ではなく骨密度も関係しているのです。
ウォーキングをするために気をつけたいこと
間欠性(間歇性)跛行や疲労骨折が疑われるなら、まずは受診しましょう。
これらの疾患に該当しなくても、歩き方に問題があるとひざや腰に痛みをもたらしたり、すぐに疲れたりしてしまいます。
身体の負担にならない歩き方でウォーキングを継続できるよう工夫したいですね。
歩くときは、猫背にならないようあごを引き、視線はまっすぐ前にむけましょう。歩幅は狭すぎないようにし、荷物を持つなら持ち替えて片手だけに偏らないよう気をつけます。ただし、これは腰部脊柱管狭窄症では逆効果になることがあるので注意が必要です。間欠性跛行を防ぐにはやや腰を丸めた歩き方が推奨されます。
また、転倒により怪我をしてはウォーキングを続けられないため、注意しなければいけません。
安全に快適にウォーキングができるよう、腰やひざのサポーターを活用してもよいでしょう。疲労や怪我の対策ができるインソールもおすすめです。
骨密度が低いと疲労骨折の発症率は高くなるため、予防に力を入れたいですね。
骨の形成に必要な栄養素であるカルシウム、ビタミンD、ビタミンKを積極的に摂りましょう。
カルシウム・・・牛乳、プロセスチーズ、ひじきなどに含まれる
ビタミンD・・・秋刀魚、イワシ、しいたけ、きくらげなどに含まれる
ビタミンK・・・納豆、わかめ、小松菜、ほうれん草などに含まれる
まとめ
健康のために続けたいウォーキングですが、歩くと脚が痛いという方はまず原因を見つけ、必要な治療を受けましょう。
身体の負担にならない歩き方を身につけ、疲労骨折予防のために骨の形成に必要な栄養素を積極的に摂ることも大切です。 運動のなかでも挑戦しやすいウォーキングで、長く健康を維持していきましょう!