骨折というと、“大きな事故や激しいスポーツなど、強いダメージを受けたら起こるケガ”と思われがち。ですが、普段の何気ない動作の積み重ねや、一見負荷の少なそうなスポーツでも起こるのが疲労骨折です。この記事では、なぜ疲労骨折は起こるのか、なりやすい部位、また防ぐための方法、特に注意したほうがよいスポーツについて解説していきます。
実はよくある「疲労骨折」とは?
疲労骨折とは、長時間に渡って徐々に骨に負担がかかり、自然発生的に起こってしまう骨折のこと。強い衝撃によってポキっと折れるのではなく、骨折にならない程度の小さな負荷が繰り返し加わり、その刺激の積み重ねで骨が疲労して亀裂が入り、結果的に骨折に繋がるのです。
疲労骨折が怖いのは、明らかに強い衝撃を受けた覚えがなくても折れていることがあるところ。安静にしていると痛みがほとんどないこともあるため見逃されがちで、気づかないまま放置すると折れた部分が転位してしまう場合もあります。
疲労骨折は、身体の発育や運動量の観点から、一般的に15~16歳の成長期に最も多いとされています。ただ、どの年代でもリスクがあります。特に女性は、更年期や月経不順などで女性ホルモンが減少し、骨密度が低下しやすいため、男性に比べて疲労骨折になりやすいという傾向が見られます。
疲労骨折になる原因、なりやすい部位は?
疲労骨折の原因は、同じ動作の繰り返しです。繰り返し起こる刺激が原因なので、スポーツだけでなく、歩く・走るといった日々の基本動作、長期間続く咳、急な体重増加、長時間労働なども原因になりますが、主に次のようなケースで起こりやすいと考えられます。
身体に合わないオーバートレーニング
運動(刺激)に耐えうる骨の強さ、筋肉量、柔軟性がないのに、使い過ぎてしまうことが原因です。久しぶりにスポーツを始めた、大会や試合を目指していつもより練習する時間を増やしたといった時は要注意です。
身体の栄養不足
無理なダイエットや自己判断による食事制限をしていると、知らず知らずのうちに身体が栄養不足になっており、骨折を引き起こしやすくなってしまいます。運動量に見合った十分なエネルギーや栄養を摂る必要があります。
疲労骨折は、体重を支える下半身で多く見られます。具体的には、すねの内側の脛骨、足の甲のあたり(中足骨)です。ただし、連続的な負荷がかかる場所で発症しやすいため、スポーツの種類や身体の癖によって、手首、肘、肋骨などでも起こることがあります。
疲労骨折に注意すべきスポーツ一覧
疲労骨折に注意したいスポーツは「跳ぶ、走る」といった動作が多い陸上競技です。
①マラソン、ランニング
跳ねる刺激が長時間にわたって続くため、脚には想像以上の負荷がかかります。
②バスケットボール
ジャンプはもちろん、フェイントや方向転換など、急で細かい動きが多く、かつ上半身はボールを扱っているため全身を使います。下半身、背中や腰などに負荷が大きくなります。
②テニス
ボールを追いかける動作では下半身、ラケットでボールを打つ動作では腰や背中、腕や手首に負担がかかります。
③野球
走る、投げる、打つと様々な動きがあります。脚、肩や肘、バッディングでは肋骨にも強い刺激が加わります。
④サッカー
脚を主に使うため下半身全般にはリスクが高く、特に足の小指側の疲労骨折(ジョーンズ骨折)になりやすいといわれます。
上記以外にも、体重による階級があるスポーツ、見た目のコントロールが必要な演技系競技などでは、体重のコントロールや食事制限が不可欠。そうしたスポーツに取り組んでいる場合は、長期的に栄養不足で、自分が思っている以上に疲労骨折になりやすい可能性があります。
疲労骨折は誰でも起こる
このように、疲労骨折はスポーツしている人にとって特に気をつけたいケガのひとつ。さらにはスポーツをしていなくても、年齢や体質、骨や筋肉の強さによって、日常のちょっとした刺激で起こることがあるので、誰にとっても対策が必要です。
まず、身体を動かす前にはしっかり準備運動をし、少ない負荷や無理のないところから始めること。身体を動かしたらそれに伴って補うべき栄養もエネルギーも増えるので、十分に栄養補給をすること。
そして違和感や痛み出てきたら「これくらいなら…」と放っておかず、早めに一度専門家のアドバイスをもらうようにしましょう。