道具がなくてもすぐに始められる、誰でもできるという手軽なスポーツであるマラソン。手軽だからこそ注意したいのが疲労骨折です。特にマラソンは疲労骨折のリスクが高いスポーツのため、ランナーなら正しい知識と対策が欠かせません。本記事では、マラソンによる疲労骨折の特徴、ランナーが知っておきたい予防と対策について解説します。
マラソンで起こる疲労骨折とは?
道具や場所、運動経験の有無問わずできて、取り組みやすいマラソン。軽いジョギングやランニングからタイムを競うフルマラソンまで、初心者~本格派と競技レベルを自分に合わせて調節できるところも魅力で、コロナ禍以降、ランナー人口は増加傾向にあります。
そんな手軽なスポーツですが、ランナーによくあるのが疲労骨折です。疲労骨折とは、同じ箇所に小さな負荷かがかかり続けることで骨にヒビが入ったり折れたりする骨折のこと。マラソンは、長時間、同じフォームで飛ぶ、跳ねるを繰り返すため、小さな負荷の蓄積という点では最たるもの。特に脚には想像以上に大きな負担がかかっており、脛骨(すねの骨)、中足骨の疲労骨折がよく見られます。
どんなことが原因?疲労骨折につながるマラソンの特徴
マラソンが疲労骨折しやすいのは、技術がなくてもできる、誰でも始められるという手軽さゆえ。十分な骨の強さ、筋力、柔軟性が備わっていないのに毎日走り始めたり、スピードを求めてオーバートレーニングになりがちなため、次のようなことが原因です。
筋力が足りない、骨密度が低い
走る負荷に耐えられるだけの十分な骨の強さ、筋力が足りていないと、故障に繋がります。
間違ったフォームで続ける
「ただ走るだけ」だと自己流で誤ったフォームで走っていると、知らないうちに身体に無理がかかり、ケガしやすいフォームが癖になってしまいます。
合わないシューズを使い続ける
マラソンに適したシューズ、自分の足に合ったシューズを使わないとケガの原因になります。また、スピードが出るからと人気の厚底のシューズを使用すると、仙骨や股関節周りに余計に負荷がかかり、疲労骨折が増えているといわれています。
トレーニングのし過ぎ
マラソンは多くの大会に出る、タイムを縮めることが楽しくなるため、徐々にトレーニング過多になってしまいます。
大量に汗をかく
骨の栄養に欠かせないカルシウムは、1ℓの汗をかくたびに平均50mgが流れ出ていると言われています。マラソンでは大量の汗をかくためカルシウム不足になり、疲労骨折のリスクが高くなってしまうのです。
安全にマラソンを続けるためのコツ
せっかくならケガなく安全に、楽しみながら長くマラソンを続けたいもの。そのためも、次のポイントを意識しながら取り組むようにしましょう。
①筋肉や骨になる栄養をしっかり摂る
十分な筋肉量、骨の強さがないと負荷に耐えられず、疲労骨折のリスクが高くなります。たんぱく質、カルシウム、ビタミンDなど、骨と筋肉の栄養&骨の代謝を促すものは積極的に摂りましょう。
②プロや専門家の意見を聞く
マラソンは、自分の身体や走り方にあったシューズ選びがとても大事。また走り方の癖がケガの原因を作るため、正しいフォームも知ることも欠かせません。定期的に専門ショップに行ってシューズが合っているか。さらにランニング教室やサークルなどに参加して正しいフォームや練習法、ウォーミングアップやクールダウンも含めて、プロの視点でアドバイスをもらいましょう。
③自分の体の変化に敏感になる&記録する
どれくらいでオーバートレーニングになるのかは人それぞれ。自分の疲労感や体力、体調の変化にしっかり気づくことも大切です。どのくらい走ったら、身体や体調がどうなったか、トレーニング記録をつけておきましょう。
④違和感や痛みが出たら、すぐに専門家へ
疲労骨折の初期症状は違和感や軽い痛みで、気づきにくいのが特徴です。いつもと違うと感じたらすぐに医師の判断を仰ぎましょう。かなり初期だとレントゲンにすら映らないこともあります。その場合は、MRIでの精密検査が必要になります。医師にマラソンやランニングなどスポーツをしていることを伝え、疲労骨折の可能性も打診してみてください。
手軽なマラソンは“メンテナンス”が欠かせない
走れるようになると「フルマラソンを完走したい」「次はもっといいタイムで走りたい」という目標が出てきます。さらに「これだけやっていれば痛むのは当然」「折れてないなら運動してもOK」と無理が当たり前になってしまいます。だからこそ、疲労骨折になりやすいのです。
毎日必ず走る!週●キロ走るといったルーティンや目標より、自分の状態を最優先することが大切。マラソンと適度な休養とメンテナンスはセットで組み込み、無理なく続けていきましょう