「水泳選手は骨密度が低い」という話を聞いたことはありませんか?
健康のために水泳をしている人やこれから始めたいと思っている人、あるいは子どもが水泳をしている人にとっては、気になる話題ではないでしょうか。
今回は、水泳が骨密度にどう影響するのか、さらには骨密度を上げるために効果的な運動について解説します。
水泳選手は骨密度が低いってホント?
一般的に、アスリートの骨密度は非アスリートより高いとされています。特にウェイトリフティング、バスケットボール、バレーボールの選手は骨量が多いことが知られています。
一方で、骨密度の調査報告の中には、競泳選手は一般人と比べても骨密度が低いと指摘しているものもあります。水泳選手はたくましいイメージがありますが、骨密度が低いのはなぜでしょうか。
水泳選手の骨密度が低い理由について、次項で詳しく見ていきましょう。
骨密度を上げるには「重力」と「衝撃」が必要
アスリートの骨密度が高い理由は、運動によって骨に負荷がかかるからです。筋肉と同じで、負荷をかけると骨密度は増えます。負荷の中でも骨密度への影響が大きいのは、「重力」と「衝撃」だといわれています。
ウェイトリフティングの選手は全身にかなりの重力がかかるため、骨密度が高くなると考えられます。バスケットボールやバレーボールの選手は、ジャンプによって衝撃を受ける下半身の骨密度が特に高くなる傾向があります。
その点、水泳の場合は水中で浮力が働き、骨にかかる重力が少なくなります。骨に重力がかからないと骨密度が下がってしまうのです。
骨密度アップにおすすめの運動
水泳はダイエットや健康維持には役立ちますが、骨密度アップを目指すなら効率的ではありません。骨粗しょう症予防におすすめの運動は、「荷重運動」「衝撃運動」「高強度の筋力トレーニング」の3種類だとされています。
荷重運動
重力がしっかりかかる状態で行う運動のことで、スクワットなどの自重トレーニングをはじめ、早歩きや片足立ち、太極拳などが該当します。
衝撃運動
主に足裏の骨に衝撃を与える運動のこと。縄跳びやジャンプ、ダンス、ヒールレイズ(かかと上げ下げ)などを指します。
高強度の筋力トレーニング
8~10回程度で限界となる負荷をかけて行う筋トレです。ダンベルスクワットやマシントレーニングなどがあります。
複数の研究を分析した論文では、これらの運動を続けることで、腰椎(背骨の腰部分)や大腿骨頸部(脚の付け根付近)の骨密度が上がることが示されています。
水泳に筋トレをプラスして骨密度を上げよう
水泳は全身運動であり、体力維持や筋力アップ、ダイエットにも効果的な運動です。しかし、他のスポーツに比べて骨密度を高める効果はあまり期待できないため、プールまでの行き帰りに早歩きをしたり、プールに行かない日は自宅で筋トレをしたりすると良いでしょう。
骨密度は、何もしなければ20歳頃をピークに低下する一方です。そのため、骨のケアは早く始めるほど良いといわれます。特に女性は更年期を過ぎると骨密度が急激に低下するので、荷重運動や衝撃運動、高強度の筋肉トレーニングを習慣にすることが大切です。水泳をしている人も、していない人も、今すぐできることから始めましょう。