牛乳は、日本人が不足しやすいカルシウムが豊富なので、食事や間食の際に積極的に飲んでいる人も多いでしょう。
さらに、運動後に飲むと様々なメリットがありますが、あまり知られていないかもしれません。
そこで今回は、健康的な身体づくりにおいて、「運動+牛乳」が効果的だとされる理由について解説します。
牛乳は運動後の栄養補給に適した飲み物
運動後の飲み物といえば、スポーツドリンクやプロテインドリンクを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。実は牛乳も運動後の栄養補給に適しており、いくつかの研究で運動の効果を高める可能性が示されています。
そもそも牛乳は、三大栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質)をはじめ、不足しやすいビタミンやミネラルを含むことから、「準完全栄養食品」と呼ばれています。
特にカルシウムやマグネシウム、カリウムなどのミネラルは、汗と一緒に流出しやすいため、これらを含む牛乳を運動後に飲むのは、理に適っているといえるでしょう。さらに、筋肉の合成に必要なたんぱく質やエネルギー源となる糖質を手軽に補給できることも、「運動+牛乳」の大きなメリットです。
運動後30分以内に牛乳を飲むのが理想
運動をすると筋肉の合成が促されますが、特に運動後45分~1時間は、傷ついた筋肉を修復・回復させるために、筋たんぱく質の合成が進みます。そのタイミングを逃さないように、運動後は30分以内に牛乳を飲み、たんぱく質を補うと良いでしょう。
牛乳に含まれるたんぱく質には、筋肉合成のスイッチを入れる「BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)」というアミノ酸が豊富です。BCAAは筋肉痛や筋疲労を和らげる働きもあるため、リカバリーを目的としたプロテインドリンクにも配合されています。
なお、筋肉量を増やすには、筋トレ後に20gのたんぱく質を摂ることが重要だといわれています。これを牛乳に換算すると600ml程度。やや多く感じる場合は、粉末のプロテインを牛乳に溶かして飲むと良いでしょう。
運動後の牛乳は熱中症対策にも効果的
運動後に牛乳を飲むと、筋肉だけでなく、血液量が増えることも分かっています。血液の量は体温調節においても重要で、「運動+牛乳」は熱中症対策にも有効だとされています。熱中症は体内に熱がこもることで起こりますが、血液の量が少ないと汗をかきにくく、熱を上手く放散できないからです。
血液の量を増やすには、ちょっとキツイ運動(早歩き15分程度)の後、30分以内に牛乳をコップ1~2杯飲むと良いといわれています。とはいえ、暑くなってから運動を始めたのでは、血液が増える前にバテてしまうため、一年を通じて熱中症に強い身体をつくることが大切です。
運動するにあたって、子どもは汗腺が未発達なので、こまめに休憩を取るようにしましょう。また、早歩きを15分継続するのが難しい高齢者は、早歩きとゆっくり歩きを3分間ずつ交互に行うことをおすすめします。
運動後に牛乳を飲むと食欲が抑えられる
ダイエットのために運動をしている人では、牛乳に含まれる脂肪分が気になるかもしれません。その場合は低脂肪タイプの牛乳を選ぶのも良いですが、脂肪分は腹持ちが良いため、食欲が抑えられる可能性もあります。
また、牛乳に含まれるホエイプロテインとカゼインプロテインは、食欲を増進するホルモンの分泌を抑え、食欲を抑制するホルモンの分泌を促進する働きもあるといわれています。
一方で、運動によって食欲が増すのも事実。運動後に牛乳を飲んでいて、太ってしまったという人は、以前よりも食事や間食の量が増えているのではないでしょうか。摂取カロリーが消費カロリーを上回ると、余ったカロリーが体脂肪として蓄積されるので太ります。
しかし、摂取カロリーを減らすために、栄養豊富な牛乳を飲まないというのはもったいない話。健康的に痩せるには、運動によって消費カロリーを増やすのがおすすめです。さらに、運動後30分以内に牛乳を飲むことで、筋肉がつきやすくなるため、基礎代謝がアップし、太りにくくなるでしょう。