「全日本大学女子駅伝」で7連覇、「富士山女子駅伝」で6連覇を果たしてきた名城大学女子駅伝部。これまでに、勝つためのカラダづくりに向けた「骨ケア」の取り組みと、強い骨と体をつくる栄養バランスの取れた「食事」について紹介してきました。
最終回となる今回は「トレーニング」をテーマに、名城大を強くするトレーニングと選手たちが大切にしている心構えについて、お話を伺いました。

米澤 奈々香(よねざわ ななか)選手
4年生(取材当時)
生年月日 2004年2月24日
人間学部・人間学科/宮城県・仙台育英高校

大河原 萌花(おおかわら もえか)選手
4年生(取材当時)
生年月日 2003年12月23日
法学部・法学科/福島県・学法石川高校
名城大の連覇を生み出した、自主性を育むチーム文化
名城大の強さを語る上で欠かせないのが、選手の自主性です。選手一人ひとりが自分にとってのベストな状態を探りながら、日々のトレーニングや体のケアでも、自分の体の声に耳を傾ける習慣が身についています。

「陸上は道具を扱う競技ではないので、体が唯一の『道具』なんです。自分の感覚を大事にして、日々の練習でも『今日の自分はどんな状態か』を確認しながら取り組んでいます」(米澤選手)
今でこそ女子駅伝の名門校として知られ、陸上競技に打ち込む高校生の憧れとなっていますが、創部当初は、東海地区の大学が日本一を目指すこと自体が、遠い夢のような挑戦でした。

わずか2人の選手からのスタート。それでも「日本一になる」という目標を掲げ、ひたむきに努力を重ね、創部からわずか11年後の2005年、「全日本大学女子駅伝」で初優勝を果たします。その原動力となったのは、チームを強くするための徹底した管理体制と厳しい指導でした。
しかし、その華々しい快挙の陰で、途中でチームを離れる選手や、才能がありながら一度もレースに出ることなくケガで引退してしまう選手もいました。

「これでは日の丸を背負って世界で戦う選手は生まれない」——米田監督はそう考え、徹底した管理から、選手の自主性を重視する方針へと大きく舵を切ります。結果が出るまでには時間がかかりましたが、2018年の「全日本大学女子駅伝」で日本一を奪還すると、そのまま7年連続優勝という快挙につながりました。
基本のトレーニングに自分流をプラス。考えて動く練習が強さをつくる
「走るトレーニング」と「体幹を鍛えるトレーニング」が練習の2本柱です。
走るトレーニングに関しては、朝の練習で10〜13km程度、授業が終わった後の夕方練習では15km前後走るのが基本です。合宿中は、その1.5倍ほど走り込みます。

スピードを意図的に変えながら走る「変化走」、心肺機能や基礎的な持久力を高める「持久走」、高強度の走りと短い休息を繰り返す「インターバル走」などのポイント練習を1週間に2〜3回取り入れ、それ以外はつなぎの練習、いわゆるジョグです。日曜日は基本的にオフで、走ることを必須とせず、各自の判断で体を整えます。
合宿は高地で行うことが多く、前半は走り込みを重視し、中盤から後半にかけては、量を少し落として質を高めるメニューへと移行していきます。
基本的な練習メニューは監督が決めますが、それはあくまで最低限の内容。そこに何を加えるかは選手一人ひとりの判断に委ねられています。

「先生に言われた練習メニューに加えて、自分で少し追い込む練習を取り入れたりしています。例えば、ポイント練習が終わった後に、ラストスパートをイメージしたスピード系を入れたり、きつい練習の後に切り替えの動作を取り入れたりしています」(大河原選手)
勝つための土台を支える、疲労骨折を防ぐ体づくりと日々のケア習慣
大会で勝つために十分な練習量を積み重ねられるのは、ケガをしにくい体づくりができているからこそ。選手たちがしっかりと体のケアをしていなければ、監督も故障のリスクを考え、思い切った練習メニューを組むことができません。

「疲労骨折は疲労の蓄積の結果です。以前は、ケア不足やオーバーワークになることもありましたが、今はケアを徹底しています。また、ちょっとしたことでも1ヶ月ほど走れなくなることがあるので、体の声に素直になって、少しでも気になったら早めに休むようにしています」(米澤選手)

「入学してからの3年間は、疲労骨折などのケガが多かったのですが、『絶対にケガをしない』という強い気持ちを持って、今年はこれまで以上に栄養補給をしっかりして、ケアも丁寧に行っています。『MBP』は朝夕の2回摂っています」(大河原選手)
栄養バランスの取れた食事、早めの休養、そしてアスリートの骨の強度を高める成分として期待されている「MBP」を摂ること。特別なことをするよりも、毎日のルーティンを欠かさず丁寧に行う習慣が、ハードな練習にも耐えうる体をつくり、成果につながる良い循環を生み出しています。
名城大が伝える強さの本質。未来のアスリートに贈る成長のヒント
ここまで、「骨ケア」「食事」「トレーニング」という3つの視点から、名城大の強さの理由を探ってきました。

疲労骨折をはじめとする故障を防ぐための骨ケア、データに基づいた栄養バランスの取れた食事、そしてそれらを支えに積み重ねる日々のトレーニング。この3つが高いレベルで揃っていることが、チームの強さになっています。
いずれが欠けても成り立たない仕組みであり、「ここまで徹底したサポートを行う大学は他にない」と言われるほど。そして、データを効率的に活用し、速く走ることと健康を両立させながら、そのギリギリのラインを選手自身が自主的に追求しています。

名城大が築いてきたのは、「競技の本質を見極め、今の自分に必要なことを考えて行動する力」。その姿勢は、競技を越えて未来のアスリートたちにも通じる学びです。
速さを追い求めることだけが、成長ではありません。
自分の体と向き合い、考え、行動する力を磨くことこそが、長く強く走り続けるための秘訣です。
◆第一回
◆第二回





