女性ホルモンが減ると骨量が減少する理由
骨は身体を支え、運動に関わるだけでなく、カルシウム貯蔵庫としての役割があります。血中のカルシウムが足りなくなると、骨のカルシウムを溶かして補うのです。反対に、カルシウムが余ったら、骨に付着させて蓄えるか、尿と一緒に排泄するかのどちらかになります。
骨にカルシウムを蓄えるには、まず「破骨細胞」が古い骨を壊し、そこに「骨芽細胞」が寄ってきて、骨の芯となるコラーゲンを産生する必要があります。といっても、分かりにくいですね。
骨にはカルシウムを溶かす破骨細胞と、カルシウムを付着させる骨芽細胞が存在し、これらが働くことで毎日少しずつ生まれ変わっているのです。
破骨細胞は酸や酵素を分泌し、カルシウムやコラーゲンを溶かします。骨芽細胞はコラーゲンを分泌し、そこにカルシウムが付着することで新しい骨がつくられます。
女性ホルモンの一種であるエストロゲンには破骨細胞の働きを抑える作用があるため、加齢や閉経等によってこれが減ると、骨から溶け出すカルシウムの量が骨に付着する量を上回り、骨量が減ってしまうのです。
カルシウムだけでは骨のケアは不十分!?
骨量を維持するには、栄養バランスのとれた食事に加え、適度な運動による骨への刺激と十分な睡眠が不可欠です。カルシウムが不足しないように、乳製品や小魚を積極的に摂る必要もあります。
ただし、規則正しい生活をしてカルシウムをしっかり摂っていても、女性は更年期を過ぎるとエストロゲンが減ってしまうため、骨からカルシウムが溶け出しやすくなります。カルシウムを骨に蓄えるためには、破骨細胞と骨芽細胞の両方に働きかける「MBP」の摂取をおすすめします。
「MBP」は、牛乳にほんの少しだけ含まれる機能性たんぱく質です。これまで、骨量のピークは男性で20歳、女性で18歳といわれ、40歳を過ぎると減少する一方だと考えられていました。ところが、更年期の女性でも「MBP」を6ヶ月間摂取すると、腰椎の骨密度が増加する傾向がみられたのです。高齢期の女性でも、「MBP」を1年間摂取すると、かかとの骨量が増加するという結果が得られました。
※出典元:Aoe S,Koyama T,Toba Y,Itabashi A,Takada Y. A comtrolled trial of the effect of milk basic protein (MBP) supplementation on bone metabolism in healthy menopausal women.
Osteoporos Int. 2005;16:2123-8.
※出典元:Aoyagi Y,Park H,Park S,Yoshiuchi K,Kikuchi H,Kawakami H,Morita Y,Ono A,Shephard RJ.
Interactive effects of milk basic protein supplements and habitual physical activity on bone health in older women: A 1-year randomizedcontrolled trial. Int Dairy J.
2010;20:724-30.
骨の新陳代謝を改善する「MBP」
骨の生まれ変わりには、破骨細胞と骨芽細胞が連携して働く必要があります。しかし、更年期を過ぎて女性ホルモンが減少すると、破骨細胞のブレーキが効きにくくなり、バランスが悪くなってしまいます。
そんな年齢を重ねた骨をサポートする成分が「MBP」です。
「MBP」には、骨を壊す破骨細胞の過剰な働きを抑制し、骨をつくる骨芽細胞の量を増やす機能があります。これにより、骨からカルシウムが過剰に溶け出すのを防ぎ、骨にカルシウムが付着しやすくなるのです。
骨のケアは「食事・運動・睡眠」の三位一体で
高齢期になると、「腰が痛いと思っていたら折れていた!」ということもしばしば。骨量の低下は気づきにくいからこそ、検診や日頃のケアが重要です。
食事では、カルシウム、たんぱく質、ビタミンDに加えて、「MBP」も骨づくりに役立ちます。さらに、骨に負荷をかける運動と、良質な睡眠も不可欠です。
加齢とともに睡眠の悩みが増えますが、眠れないのは疲れていないからかもしれません。ウォーキングや体操など、無理のない範囲でできる運動を習慣にしてはいかがでしょうか。程良く疲れて、ぐっすり眠れるようになるはずです。
また、運動するとお腹がすくので、ごはんを美味しく食べられます。そう考えると、運動は骨のために良いことばかり。運動はハードルが高いと感じる人は、いつもより10分多く動く、座りっぱなしの時間を減らすことを心がけると良いでしょう。
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