骨折が治りにくい原因は?早く治すために自分でできること

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骨折は、ある日突然起こりうる身近なケガのひとつです。
できれば経験したくありませんが、もし骨折してしまったら、少しでも早く治したいですよね。
そこで今回は、骨折が治りにくくなる原因を踏まえ、骨折時のセルフケアについて解説します。

骨折した骨は通常3ヵ月~半年でくっつく

骨折の治療は、折れた骨を元の位置に戻して、固定することが基本です。一定期間きちんと良い状態で固定されていれば、ほとんどの場合は元通りに治るといわれています。

骨折が治るまでの期間は、骨折した部位や骨折の状態にもよりますが、通常は3ヵ月から半年くらいが目安。しかし、中には治療をしても治りにくい骨折があります。

例えば、折れた骨が皮膚を突き破って外から見えてしまっていたり、骨がバラバラになってしまったりすると、治りにくくなる場合があります。
骨折が治りにくい状態を「難治(性)骨折」といい、治療には豊富な知識や経験が求められるため、専門の医療機関を受診することが大切です。

そもそも骨折はどのように治っていくの?

骨折が治っていく過程は、「炎症期」「修復期」「リモデリング期」の3段階で進みます。

●炎症期(骨折直後から2~3週間)
骨折した骨から出血し、「血腫」という血の塊ができるのが特徴です。
血腫には免疫系の細胞や成長因子(組織の再生や増殖を促すたんぱく質)が含まれており、まず免疫系の細胞がダメージを受けた組織や骨の破片などを掃除します。このときに炎症反応が起こり、骨折したところが腫れてズキズキ痛む原因となります。。

修復期(骨折して数日後から数週間)
やがて炎症が収まってくると、血腫に含まれる成長因子が骨をつくる細胞(骨芽細胞)などを増殖させ、修復期に入ります。
修復期では、骨折した部分に「仮骨」という軟らかい未熟な骨がつくられます。

リモデリング期(骨折して数週間から数ヵ月)
仮骨が成熟した骨に変化していく過程をリモデリング期と呼びます。元の骨に近い形に回復するのに数ヵ月、場合によっては数年かかるといわれています。

骨折が治りにくいのは生活習慣のせいかも…

骨の再生能力は若い人ほど強く、加齢とともに低下することが分かっています。つまり、年を取るほど骨折が治りにくくなりますが、他にも次のような要因があると、骨折の治癒が遅れると考えられます。

栄養の偏り

骨の材料となるカルシウムやたんぱく質が不足すると、新しい骨をつくることができません。また、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、カルシウムの骨への沈着を助けるビタミンKが不足した場合も、骨折が治りにくくなるでしょう。

血行不良

骨折を治すのに必要な栄養素は、血流にのって運ばれます。冷えや運動不足などで血行が悪くなると、栄養素や酸素が上手く届けられません。

タバコの影響

喫煙も血行が悪くなる要因です。さらにタバコは女性ホルモンの働きを妨げるとされています。女性ホルモンは骨からカルシウムが溶け出すのを抑制する作用があり、骨の健康を守るうえで重要な役割を果たしています。

アルコールの影響

飲酒は適量なら問題ないといわれていますが、アルコールの利尿作用によってカルシウムが過剰に排泄されることがあります。また、骨折の炎症期には、飲酒によって血流が激しくなると、腫れや痛みが強くなる場合があります。

基礎疾患の影響

基礎疾患の有無も骨の健康に影響し、特に糖尿病の人は注意が必要です。糖尿病になると骨の質が低下するため、骨折が治りにくいだけでなく、骨折しやすくなるといわれます。

骨折を早く治すためのセルフケア

骨折は、ずれた状態を放置したりして治療が遅れると、治りにくくなる可能性があります。痛みや腫れが強い場合には、すぐに病院に行くことが重要です。そのうえで少しでも早く治すために、自宅でできるケアについても知っておきましょう。

栄養バランスを整える

骨折の回復を促す栄養素として重要なのは、カルシウム、たんぱく質、ビタミンD、ビタミンKです。特にカルシウムとビタミンDは、ほとんどの年代の女性が不足しているといわれます。
カルシウムは牛乳・乳製品をはじめ、小魚、大豆、緑の葉野菜などに含まれます。ビタミンDは青魚と干したきのこが主な供給源です。これらの食品を意識して摂ることで、栄養バランスが良くなるでしょう。

禁煙・節酒を心掛ける

タバコもアルコールも骨折時は控えるのが望ましいでしょう。特にタバコは骨粗しょう症のリスクを高めるため、骨折する前に禁煙することをおすすめします。
アルコールの適量は1日約20gとされています。お酒に換算すると、ビール500ml、ワイン200ml、日本酒1合、チューハイ350ml程度です。

良質な睡眠をとる

睡眠中に分泌される成長ホルモンは、傷ついた組織の修復を促す働きがあります。成長ホルモンは特に深い眠りのときに分泌が増えるため、骨折時には十分な睡眠時間を確保するとともに、規則正しい生活をして睡眠の質を高めることが大切です。

できるだけ身体を動かす

骨折による痛みが強いときは安静にする必要がありますが、少し落ち着いてきたら、医師の指示に従って身体を動かすことが重要です。身体を動かせば血流が良くなり、骨折の治癒が促されますし、筋肉の維持にもつながります。
運動する際は、骨折部をきちんと固定して負荷をかけ過ぎないように気を付けましょう。

まとめ

骨折は痛いだけでなく、日常生活にも様々な支障が出ます。今回ご紹介したセルフケアは、骨折を早く治したいときはもちろん、骨折の予防にも役立つでしょう。なるべく骨折しないように、骨密度を高める生活を心がけましょう。骨密度を高める機能性たんぱく質の「MBP」を摂取するのもおすすめです。

医療法人幸鷺会 森整形外科リハビリクリニック 院長 。 公益社団法人日本整形外科学会 整形外科専門医 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
管理栄養士・食育インストラクター 2000年からライター・編集者としてメディア制作に従事。業務を通じて食と健康に興味を持ち、2017年に管理栄養士資格を取得。現在は人間栄養学に基づいた健康記事の執筆活動を中心に、健康相談業務にも携わる。

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