骨折は、スポーツ中だけでなく、日常生活の中でも起こりうるケガのひとつです。
日常生活にも支障をきたすため、早く治したい!と思う人は多いのではないでしょうか。
骨折を早く治すには、適切な治療やケアが欠かせません。そして、骨折をしないよう気をつけることも大切です。
そこでこの記事では、骨折を早く治す方法や治るしくみだけでなく、骨折しやすい人の特徴についても解説します。
骨折が治るしくみは?
骨折が治るしくみから解説していきます。
骨折の治癒には3つの段階があり、「炎症期」→「修復期」→「リモデリング期」と進みます。
【炎症期】
骨折から2~3週間は炎症期です。
折れた骨から出血が起き、腫れや痛みが強い状態です。
【修復期】
数日から数週間は修復期です。
新しい骨をつくる細胞が骨の形成を始めます。
【リモデリング期】
数週間~数ヶ月はリモデリング期です。
新しくできた骨の形を整え、強い骨に変化していきます。
これら3つの段階はきれいに切り替わるのではなく、それぞれの段階が重なりながら進んでいきます。
元の状態に回復するには一定の期間が必要ですが、骨は再生能力が高い組織のひとつです。適切な治療をすれば正常な機能を取り戻すことできます。
治るまでの期間は骨折の種類により異なり、個人の健康状態も関わってきますが、一般的には数週間から数ヶ月かかるでしょう。
骨折にはどのような治療が必要?
骨折が疑われる場合は、専門家の診断を受けることが大切です。
骨折の治療方法は症状によって異なりますが、一般的には「保存的治療」と「手術的治療」の2つがあり、骨折の状態に合わせて選択されます。
保存的治療
保存的治療とは、ギプスやシーネ(添え木)を使用して骨折部位を固定する方法です。
どちらを使用するかは、重症度や骨折部位などを考慮して判断されます。
一般的に、 ギプスは複雑な骨折に用いられることが多く、シーネは骨折のずれがそれほど大きくない場合に用いられます。
鎖骨や肋骨など、ギプス固定が困難な部位の場合は、鎖骨バンドやコルセットなどの装具を使用して固定します。
骨が折れて大きくずれている場合は、整復と呼ばれる処置が行われることもあります。
整復とは、手や器具を使って骨や関節の位置を正しい位置に戻す処置です。
手術的治療
手術的治療とは、骨折部を正しい位置に征服したのち、金属のスクリューやプレートを使用して骨折部を固定する方法です。
骨折部位や状態などから適切な手術方法を選択されます。
徒手整復では元に戻ってしまう場合や、体重がかかる部位を骨折した場合などに手術が選択されます。
骨折を早く治す方法
日常生活にも支障をきたす骨折は、誰もが早く治したいと考えるでしょう。
ここでは、骨折を早く治す方法を4つ解説します。
骨折部位を安静にする
骨折部位の安静はとても重要です。医師の指示に従い、三角巾やアームホルダー、装具を正しく使いましょう。
骨折部位に負荷がかからないよう、骨折からしばらくの間は活動量を抑え、安静に過ごします。
睡眠をしっかりと取る
「眠ると疲れた身体が回復する」という感覚は多くの方が知っています。
これは感覚だけでなく、睡眠中に組織の修復や細胞の再生が行われているからです。
睡眠中にはさまざまなホルモンが分泌され、骨と密接な関係にある「成長ホルモン」も分泌されます。
成長ホルモンは身体の成長を促すホルモンであり、骨折の回復にも関与します。深い眠りのときに大量に分泌されるため、しっかりと眠れる環境を整えましょう。
骨の回復を促す栄養素を摂る
栄養バランスの良い食事は、骨の修復に不可欠です。
骨に特に必要な栄養素は以下のとおりです。
【カルシウム】
骨の主成分であり、骨の強度を保つために欠かせません。
含まれる食材:牛乳、プロセスチーズ、納豆、小松菜、ひじきなど
【ビタミンD】
ビタミンDはカルシウムの吸収をサポート役割があります。
含まれる食材:鮭、秋刀魚、しらす干し、きくらげ、干し椎茸など
【ビタミンK】
カルシウムが骨に蓄えられるようサポートする役割があります。
含まれる食材:納豆、モロヘイヤ、小松菜、ほうれん草など
【たんぱく質】
骨のコラーゲンの一種であり、骨の強度を支えます。
含まれる食材:肉類、魚介類、豆類、乳製品などに多く含まれます。
これらの栄養素を意識しながら、バランスのよい食事を心がけましょう。
骨に必要な栄養素を摂取することで、骨の強化や再生が促進されます。
適度に身体を動かす
骨折を早く治すには安静期間が必要ですが、痛みが引いて安定してきたら医師の指示に従い、適度に身体を動かしましょう。
身体を動かすと全身の血行が促進され、回復を助けます。
骨折部位に負担のかからない程度に行い、無理な動作は避けましょう。
予防のためにも知っておきたい!骨折しやすい人の特徴
骨折をすると、生活に制限が生じたり不自由さを感じたりとストレスに直面します。
そのため誰もが骨折したくはありません。
しかし、雪印メグミルクが提供する「骨の健康度チェッカー」を利用した全国の男女約25,000人の結果では、約6割が骨の弱まりが進行している脆弱性骨折予備軍との結果に。
そこで、骨折しやすい人の特徴を見ながら、骨折予防のためにできることを紹介していきます。
骨密度が低いと骨折しやすい人
骨密度が低いと骨の強度が弱くなり、骨折しやすくなります。
骨密度は男女ともに加齢によって減少し、女性のほうが減少の度合いが大きいといわれています。これは、女性ホルモンが骨にも影響を与えるからです。
骨密度の維持や改善は、気長に向き合うことが大切です。
牛乳・乳製品を積極的に摂り、バランスのとれた食事を心がけましょう。骨密度を高める成分「MBP」が配合されたサプリや食品を取り入れるのもおすすめです。
また過度の飲酒は避け、運動により骨に適度な負荷を与えることも大切です。
極端な食事制限の経験がある人は骨折しやすい
小学生の頃からダイエットをした場合、約半数が「骨密度の低い人」となったデータ があります。
極端な食事制限が女性ホルモンのひとつであるエストロゲンを減少させ、年齢に関わらず骨密度の低下を引き起こす恐れがあります。
骨の強度や健康に悪影響を与えないよう、ダイエット中もバランスのよい食事を心がけましょう。
運動習慣がないと骨折しやすい
運動不足は筋力が低下し、骨も弱くしてしまいます。
反対に適度な運動は筋力と骨を強化し、骨折予防に役立ちます。
「寝たきりになると10倍以上の早さで骨の量が減っていく」と聞いたことはありませんか?骨は動かずにいると劣化します。
骨に適度な負荷をかける運動を行い、骨の中の細胞を活発化させましょう。
まとめ
骨折の回復には時間がかかることがありますが、適切な治療や、質の良い睡眠、栄養バランスの良い食事で早期回復を促進できます。
それでも、骨折するとさまざまなストレスに直面するため、予防に努めることが最も大切です。
骨密度を意識して、骨折しないよう工夫していきたいですね。