身体の中では硬くて丈夫そうに思える骨。そんなしっかりした骨が折れる原因というと、スポーツや体に強い衝撃が加わった時などをイメージしがちですが、実は骨折のリスクは私たちの日常に意外とたくさん潜んでいます。また、骨折しているのに気づいていないというケースもあります。そんな身近なケガである骨折についての基礎知識、骨折しやすいシーンや危険度、予防法について解説していきます。
そもそも骨折とは?
骨折というと、骨がポキっと折れてしまうことだと思っている人が大半ではないでしょうか。骨折とは物理的に折れるだけでなく、「骨が壊れる」ことを指します。そのため、骨のヒビや一部分が欠ける、はがれる、といったことも、骨折の一種なのです。
骨折の原因の多くは骨に圧力=力がかかることで起こります。転倒や転落、スポーツなどで衝撃や負荷がかかり、外的に大きなダメージがあると、それに耐えられなくなって折れてしまうわけです。
日常に潜む、骨折のリスク
激しい運動や大きな事故などが原因であることが多い骨折ですが、普段の生活の中にもたくさんの骨折リスクが潜んでいます。特に骨折がみられやすいシーンには、次のようなものが挙げられます。
数センチの段差
つまずいて足をひねることで、足の骨や足首に瞬間的に大きな力が加わり骨折してしまいます。
机やイスの角にぶつける、上から物をおとす
家具にぶつける時は、たいてい靴を脱いだ状態のため、想像以上に衝撃が強いです。また、本を角から落とす、重い食器や鍋などを足の上に落とすと強い外力がくわわり骨折をおこします。
咳やくしゃみによる疲労骨折
長く咳がつづくことによって繰り返し負担がかかり肋骨が折れることがあります。
こうした日常生活における骨折は決してめずらしいことではなく、「捻挫や突き指程度だと思っていたら骨折していた」など、誰にでも起こり得ることなのです。
骨折しやすくなる原因
骨の強度には個人差があるため、同じ衝撃を受けても骨が丈夫であれば、骨折にまで至らないことは十分にあり得ます。逆に骨がスカスカの状態、もろくなっている状態だと、ささいなことで骨が折れてしまいます。
骨折しやすくなる原因のひとつは、骨代謝のバランスがくずれることです。加齢やホルモンバランスの変化によって骨代謝のバランスが崩れ、骨粗しょう症に繋がります。また、過度の運動刺激が長く続くと、その衝撃で生じたひびが原因で疲労骨折になっていることも考えられます。さらに、骨粗しょう症では、知らないうちに背骨が骨折してまがってきてしまう「いつの間にか骨折」という症状もあります。
骨折予防のためには、食事、運動、睡眠!
骨折を防ぐには、まず骨を丈夫にすることが一番。特に、食事、運動、睡眠という基本的な生活習慣をしっかり見直すことが大切です。
骨を強くするために必要な栄養素であるカルシウム(乳製品、小魚など)、そのカルシウムの吸収を助けるビタミンD(魚やきのこ類)、カルシウムの定着を促すビタミンK(ほうれん草や小松菜、ブロッコリー、納豆など)を含む食品を一緒に摂りましょう。なおビタミンDは日光浴を行うことにより体内で生成されるため、日光にあたるよう心がけましょう。また、運動機能を高めておくと、急な転倒や衝撃にも反応できるなど、身を守ることに繋がるので、日頃から足腰の筋力アップをしておくとよいでしょう。睡眠中は、骨の成長を促す成長ホルモンが出るため、骨の健康には質のよい睡眠も重要です。
骨は一日で丈夫になるものではないので、日々の小さな積み重ねで強い骨を作っていきましょう。