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紫外線というと、「シミやしわをもたらす老化の原因」、「皮膚がんや白内障といった健康への悪影響」など、デメリットばかり!というイメージが強いかもしれません。ですが、実は紫外線は私たちの健康維持に大切な役割を果たしてくれるものであり、特にビタミンDとの関係や骨の健康には欠かせません。この記事では、そんな大切なビタミンDの働きや紫外線との関係について、さらに骨への影響についても解説します。
紫外線によってつくられる?ビタミンDとの関係
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そもそも紫外線とは、太陽から発せられる光のエネルギーのこと。そのうち、地球の地表まで届いて私たちに影響を与えるのが、UVA(紫外線A波)とUVB(紫外線B波)の2つです。UVA(紫外線A波)は、肌の表面だけでなく奥まで浸透して細胞を傷つけてしまい、肌のハリが失われたり、シワやたるみにつながったりします。UVB(紫外線B波)は、肌の奥までは届きませんが、肌の表面にダメージを与えます。日焼けをすると赤くなって炎症を起こす、色素沈着をして肌が黒くなるといったことは、このUVB(紫外線B波)の影響です。シミやそばかすの原因にもなります。
一見デメリットばかりのような紫外線ですが、ビタミンDの合成のためには紫外線が不可欠です。「紫外線は肌の大敵!健康に悪いもの!」と、紫外線の悪影響ばかりがフォーカスされ、多くの人が必要以上に紫外線対策をして太陽を浴びなくなっています。さらに、近年ではコロナ禍の外出制限によってますます外出の機会が減ってしまったため、現代人はビタミンDが足りない傾向にあるのです。
ビタミンDはどんな栄養?
ビタミンDとは、免疫力の向上や骨の健康維持のために欠かせない栄養素です。身体の免疫力機能を調整して抵抗力を高めてくれたり、カルシウムの吸収を助けて骨の成長や骨密度の維持をサポートしてくれたりするものです。そんな重要なビタミンDですが、不足しがちな栄養素。したがって、摂取した栄養をしっかり働かせ、骨格の健康を維持するためには、日光浴によるビタミンDの生成が欠かせません。これは、骨量を保ち、骨粗しょう症を防ぐために必要なのです。
骨にはビタミンD&日光浴が欠かせない
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ビタミンDは別名「骨のビタミン」ともいわれるほど、骨と密接な関係があります。ビタミンDには、食事から摂取したカルシウムの吸収を助け、血液中のカルシウム濃度を一定の濃度に保つ働きがあります。カルシウムは吸収しづらいため、ただ摂っていても腸から吸収される量が足りていないことがあります。すると血液中のカルシウム濃度の低下を防ごうとして骨の中のカルシウムが血液中に溶け出てしまい、骨密度が減少してしまうのです。
また、ビタミンDは、カルシウムと同じで骨の元となる成分であるリンの吸収も促します。このように、摂った栄養をしっかり働かせるため、骨格を健康に維持するために、日光浴によるビタミンDの生成は、骨量を保って骨粗しょう症を防ぐため欠かせないのです。
紫外線とうまく付き合う方法
紫外線は浴び過ぎると、細胞を傷つけ、老化や病気につながることもあるため注意が必要ですが、健康維持に必要な効果もあります。そのため、身体にとってプラスになる浴び方を知ることが大切です。以下を参考に、季節やタイミング、時間によって適宜調整しながらうまく取り入れていきましょう。
・紫外線が強い時季
3月頃から急激に強くなりはじめ、5~7月にかけてピーク。特に6月〜8月は紫外線量がとても多い。
・紫外線が強い時間
10時頃~14時頃までが最も強い。
・浴び方
夏場なら晴天の日で15~30分。直射日光でなくても紫外線の健康効果は得られるので木陰にし、強い時間帯は避ける。夏の曇りの日、冬は30分~1時間程を目安にする。
・浴びる部位
手のひらや足の裏など、身体の一部分だけでもOK。身体全身、頭や顔にはなるべく当たらないように工夫する。
<参照>https://www.nies.go.jp/whatsnew/2013/20130830/20130830.html