【医師監修】体組成計で「骨密度」は測定できる?「推定骨量」「骨レベル」との違いを解説

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皆さんは、自分の「骨密度」がどのくらいかご存知ですか?
家庭用の体組成計の中には、「推定骨量」や「骨レベル」を測定できるものもあるため、日常的に測っている人もいるかもしれません。
しかし、骨密度と推定骨量、骨レベルは似て非なるもの。それぞれの違いを知り、骨の健康に役立てましょう。

40歳を過ぎたら「骨密度」を意識しよう!

骨は一度つくられたら終わりではなく、毎日少しずつ生まれ変わっています。古くなった骨が壊され、そこに新しい骨がつくられるのです。そのバランスが崩れると「骨量」が減ってしまいます。

骨量とは、骨に含まれるカルシウムなどのミネラルの量(重さ)のこと。骨密度と似ていますが、「骨密度」は単位面積(cm2)あたりの骨量(g)を指し、骨の詰まり具合を表す指標です。骨量が減ると骨密度も低下するため、同じような意味と捉えて差し支えないでしょう。

骨密度が低下し、骨が弱くなって骨折しやすくなる病気を「骨粗しょう症」といいますが、女性は40歳頃から大きく骨量が減り始めるため要注意。骨粗しょう症は閉経後の女性に発症する場合が多く、60代女性の約5人に1人、70代女性では約3人に1人が骨粗しょう症だといわれています。

多くの自治体では40~70歳の女性を対象に骨粗しょう症検診が実施されているため、案内が届いたら受診しましょう。予防目的であれば、40歳以上の女性は1~2年ごとに骨密度を測定し、閉経後は年に一度は検診を受けるのが望ましいとされています。

「骨密度」「推定骨量」「骨レベル」の違いとは?

骨密度の測定法には、超音波を用いる方法とX線を用いる方法があります。いずれも思い立った時にいつでも測定できるわけではないため、自宅で気軽に「推定骨量」や「骨レベル」を測定できる「体組成計」が気になっている人も多いのではないでしょうか。

一般的な体組成計は、身体に微弱な電流を流し、その流れやすさで体組成(身体を構成する組織)を推定するものです。脂肪と筋肉では、電流の流れやすさが異なるという性質を利用しています。

そして、骨量は脂肪以外の組織と密接に関係していることから、体組成をもとに統計的に推定した値が「推定骨量」です。また、「骨レベル」は体重に占める骨の重さの割合をレベルで表示したもの。つまり、推定骨量や骨レベルは骨密度と違って、骨の詰まり具合や強さ、骨折のリスクとは直接関係がありません。

しかし、体組成計で推定骨量や骨レベルを測定することは、骨の健康を意識するきっかけになるでしょう。あくまでも参考程度ですが、体重と一緒に測って記録し、経年変化を見ていくと良いかもしれません。

骨密度を維持するには体重管理も重要

骨密度は体重が重い人ほど高くなる傾向があります。一方で、肥満やメタボリックシンドロームになると骨の強度が低下し、骨粗しょう症の危険性が高くなるといわれています。要するに、骨にとっては太り過ぎもやせ過ぎも良くないため、毎日体重を測り、適正体重を維持することが重要です。

適正体重は、「BMI(ビーエムアイ)」を目安にすると良いでしょう。BMIは【体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)】で算出し、18.5未満を『やせ』、18.5以上25未満を『普通』、25以上を『肥満』と判定します。

また、肥満の人が急激にやせると骨密度が低下しやすいため、月に1~2kg減を目標にして、『普通』の範囲を目指しましょう。推定骨量や骨レベルを測定できる体組成計があれば、体重の変化と合わせて確認してみてはいかがでしょうか。

いくつになっても骨密度アップは可能

一般的に、骨密度が最も高くなるのは20歳前後で、女性は40歳頃から著しく低下し始めます。20歳を過ぎると骨密度をアップするのは難しいといわれますが、絶対に無理というわけではありません。
普段ほとんど運動をしない人では、ウォーキングや筋トレを習慣にすることで、今よりも骨量を増やせる可能性があります。運動によって骨に負荷がかかると骨の代謝が活発になり、骨量が増えるとされています。

骨密度を上げるために特におすすめなのは、かかとにトントンという衝撃が伝わる運動です。ウォーキング以外にも、ジョギングや縄跳びなども良いでしょう。
また、重力も負荷となるため、ウェイトトレーニングやスクワットなどの自重トレーニングも効果的。筋肉量が多いほど骨密度は高くなるため、丈夫な骨をつくるには、運動を継続して筋肉をつけることが大切です。

医療法人幸鷺会 森整形外科リハビリクリニック 院長 。 公益社団法人日本整形外科学会 整形外科専門医 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
管理栄養士・食育インストラクター 2000年からライター・編集者としてメディア制作に従事。業務を通じて食と健康に興味を持ち、2017年に管理栄養士資格を取得。現在は人間栄養学に基づいた健康記事の執筆活動を中心に、健康相談業務にも携わる。

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