久しぶりに会う親が、ふとしたときに小さく見えた経験はありませんか?
「歳をとったものだ…」なんて、しんみりしている場合ではないかもしれません。
若い頃より身長が低くなっていたら、骨密度が低下している可能性があります。
大切な骨と家族の未来を守るために、親子で骨の健康をチェックしましょう。
50代以上の女性の3人に1人が骨粗しょう症
骨粗しょう症は骨密度が低下し、骨が弱くなって、骨折しやすくなる病気です。女性では骨密度は20歳前後にピークとなり、40代から減少し始め、閉経前後から顕著に低下します。特に更年期以降の女性は要注意。50代以上の女性では3人に1人が骨粗しょう症だといわれています。
50代以上の女性に骨粗しょう症が多い理由は、閉経すると女性ホルモンがほとんど分泌されなくなるからです。女性ホルモンには、骨をつくる細胞を活性化し、骨を壊す細胞を抑制することで骨の生まれ変わり「骨代謝」のバランスを改善する働きがあります。その女性ホルモンが減少する更年期以降は、つくられる骨よりも壊される骨のほうが多くなるため、急激に骨密度が減少していくのです。
しかも、骨は目に見えないため、脆くなっても自覚症状がなく、骨折して初めて骨粗しょう症と診断されるケースも珍しくありません。高齢になって背骨が潰れれば背中が丸くなったり、腰が曲がったりしますし、足の付け根(大腿骨近位部)を骨折すると、寝たきりになることもしばしば。気付かないうちに骨がスカスカになってしまわないように、骨密度低下のサインを見逃さないことが大切です。
「CHECK-2cm」身長を測って2cm以上縮んでいたら骨の黄色信号!
骨密度が低下すると骨がしぼんで身長が縮むことがあるため、自分で簡単にできるチェックとして身長の変化を記録するのがおすすめ。身長を測るくらいなら、自宅で簡単にできそうではないですか?お子さんの身長を定期的に測るように、ご自身はもちろん、親御さんの身長も定期的に測り、記録しておくと良いでしょう。
身長を測る手順は以下の通りです。
1.壁を背にしてまっすぐ立ち、かかと、お尻、背中、後頭部の順に壁につけます。
2.視線が水平になるように少しあごを引き、身長(床から頭頂部までの高さ)を測ります。
若い頃より身長が低くなっていませんか?
若い頃から身長が3〜4cm縮んでいると骨粗しょう症の疑いがあるとされています。ですから、2cm以上の身長低下は、骨の健康の黄色信号だといえます。また、壁に後頭部がつかない場合は背骨が骨折等により歪んでいる可能性が疑われますので、医師に相談しましょう。
骨粗しょう症リスクは遺伝する⁉
親子でお互いの体を改めて意識して見てみると、お互いの体型の似ているところ、似ていないところに気付くことも多いでしょう。体型は遺伝するといわれますが、実は骨粗しょう症にも、遺伝的な要素は大きく影響しています。食生活や運動など、他のリスク因子に比べ、2倍以上の影響があると考えられているほどです。身内に骨粗しょう症の人がいたり、検査で骨密度が低いことがわかったりしている場合は、よりいっそう注意が必要です。家族で対策していくことが大切です。
40代からは定期的に身長を測りましょう
40〜50代になると、親の介護問題が現実的になってきます。厚生労働省の調査によれば、「骨折・転倒」は65歳以上で介護が必要となった主な原因の第4位。女性に限定すると第2位です。いうまでもありませんが、親の介護は自分や家族の生活に大きく影響します。
転倒による骨折を防ぐには、骨密度低下のサインに早く気付くことが重要です。骨密度低下は身長の変化に表れやすいため、骨密度が低下しはじめる40代以上は、定期的に身長を測りましょう。
また、多くの自治体で40代以上の女性を対象とした骨粗しょう症検診を実施しているので、大切な家族の未来のために定期的に受診してみてはいかがでしょうか。