
ダイエットのデメリットとして、筋肉が落ちてしまいやすいことが挙げられます。
それを防ぐために、たんぱく質を積極的に摂っている方も多いでしょう。
でも、ダイエットをして体重を減らすこと自体に、リスクがあることをご存じですか?
この機会にダイエットのやり方を見直し、たんぱく質の上手な摂り方を考えてみましょう。
ダイエットをすると骨までやせる?

ダイエットで重要なのは、筋肉を保ちながら脂肪を落とすこと。筋肉が落ちると太りやすくなるため、ダイエット中はたんぱく質を多めに摂ったほうが良いといわれます。しかし、筋肉以上に落としてはいけないのが「骨密度」です。
急激なダイエットは骨密度の低下を招きます。食事制限によるカルシウム不足や栄養の偏りが主な原因ですが、体重が減ることも骨にとってはデメリット。体重と骨密度には深い関係があり、やせている人のほうが骨粗しょう症のリスクが高いといわれています。
骨密度を維持することは、若々しい見た目を保つうえでも重要です。ダイエットをして骨密度が低下すると、身体を支えている骨がしぼんでしまいます。顔の骨がしぼむと皮膚が余り、シワやたるみが目立つようになるでしょう。さらに、目がくぼんだり頬がこけたりするので、老けた印象になります。
健康のために肥満を改善することは大切ですが、必要以上にやせるのは美容面でもおすすめできません。
たんぱく質がダイエットに役立つ理由
ダイエットをするなら適正体重を意識しつつ、栄養バランスにも気を配る必要があります。特にたんぱく質を積極的に摂ると良いといわれる理由は、主に次の3つです。
1.基礎代謝が上がる
筋肉が多い人ほど基礎代謝が高く、太りにくい傾向があります。たんぱく質を摂ると筋肉を合成する反応が一時的に促進されるため、朝昼夕の3食でたんぱく質を摂ることで、筋肉の維持と基礎代謝のアップにつながるでしょう。
2.血糖値が上がらない
糖質を摂ると血糖値が上がり、脂肪をため込む働きがある「インスリン」というホルモンが分泌されます。よく「糖質の摂りすぎは太る」といわれるのは、血糖値が上がるからというのも一つの要因です。その点、たんぱく質は直接血糖値を上昇させません。
3.食事誘発性熱産生が高い
食事誘発性熱産生とは、食後に体内で熱がつくられる反応が進み、消費エネルギーが増大すること。たんぱく質のみの食事では、摂取エネルギーの約30%が熱の産生に使われます。糖質のみの場合は約6%、脂質のみの場合は約4%なので、たんぱく質は食事に伴う消費エネルギーが多く、太りにくいと考えられます。
ダイエットに効果的なたんぱく質の摂り方
たんぱく質は筋肉だけでなく、骨の材料にもなります。ダイエットで筋肉や骨までやせてしまわないように、たんぱく質の摂り方にも気を付けましょう。
◎運動後すぐにたんぱく質を摂る
運動をすると筋肉合成のスイッチが入ります。そのタイミングで材料となるたんぱく質が不足しないように、速やかに補給することが大切です。
また、運動は骨をつくる細胞を活性化し、「オステオカルシン」というたんぱく質の合成を増加させます。オステオカルシンは骨の形成や筋力アップなどに関わり、「若返りホルモン」と呼ばれています。
◎朝食で糖質とたんぱく質を摂る
食事と食事の間隔があき、エネルギーが不足すると、筋肉の分解が進みます。朝昼夕の3食きちんと食べることは、筋肉を維持するためにも重要です。特に朝はエネルギーが不足しやすいため、たんぱく質だけでなく、エネルギー源となる糖質を必ず摂りましょう。
◎たんぱく質を最初に食べる
ダイエットでは食べる順番も重要だといわれます。ベジファーストもよく知られていますが、たんぱく質を最初に食べると血糖値の急上昇が抑えられ、太りにくくなるとされています。
◎ビタミンB群、ビタミンD、亜鉛、鉄、カルシウムを一緒に摂る
筋肉を合成するには、たんぱく質の代謝に関わるビタミンB群が必要です。また、ビタミンDや亜鉛は、筋肉の合成を促進する働きがあります。さらに、鉄とカルシウムは、筋肉が活動するために欠かせない栄養素です。
ダイエットにおすすめのたんぱく質食品

ダイエット中は鶏むね肉やササミ、ゆで卵を食べることが多いのではないでしょうか。それらに加えて、特に意識して摂りたい食品をピックアップしました。
◎牛乳・乳製品(低脂肪乳・チーズ・ヨーグルト)
牛乳・乳製品には、良質なたんぱく質をはじめ、筋力維持に必要なビタミンB群、ビタミンD、カルシウム、亜鉛が含まれています。朝食や運動後に摂りやすいのもメリットです。脂肪分が気になる場合は、低脂肪タイプを選ぶと良いでしょう。内臓脂肪を減らす機能性表示食品のヨーグルトもあります。
◎魚介類
魚は種類によって含まれる栄養素が異なります。大雑把に捉えると、赤身魚は鉄分やビタミンB群が豊富。白身魚は脂肪分が少ないためカロリーが低めです。青魚は中性脂肪を下げるn-3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)が多く、ダイエットに良いといわれます。
筋肉と骨のためには、ビタミンDが多い鮭・いわし・しらす干し・マグロ・サンマや、カルシウムを補える小魚がおすすめです。
◎大豆・大豆製品
大豆はたんぱく質だけでなく、カルシウム、鉄、食物繊維の供給源としても重要。乾燥大豆を調理するのは大変ですが、納豆や豆腐なら手軽に食べられるのではないでしょうか。
まとめ
ダイエットでは筋肉を落とさないように、たんぱく質を十分に摂ることが大切ですが、骨密度の低下にも注意が必要。骨密度が低下して骨折してしまうと、ダイエットどころではありません。
筋肉と骨密度を維持するために、たんぱく質だけでなく、カルシウムやビタミンDを含む乳製品や魚介類、大豆製品を意識して摂りましょう。