【医師監修】成長ホルモンは睡眠中に出るって本当?成長ホルモンの役割と成長ホルモンが出る時間帯を解説

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身体から分泌されるという「成長ホルモン」。寝ている間に分泌されているというのは本当でしょうか?そもそも成長ホルモンって何? 成長ホルモンの役割と成長ホルモンが分泌される時間帯、成長ホルモンと病気や骨との関係などを解説します。

そもそも成長ホルモンとは?

成長ホルモンは、脳の下垂体から分泌されるホルモンのひとつです。名前に「成長」とあるものの、成長ホルモンは子どもが成長するときにだけ分泌されるわけではなく、一生涯を通じて分泌されます。小児期には、骨や筋肉、臓器を成長させる役割、思春期には性の成熟を促進させる役割、成人期には代謝の調節や免疫機能、認知機能に作用する役割があります。

成長ホルモンの分泌量が減ると健康上のリスクが高まる

成長ホルモンの分泌量が減ると、LDL-コレステロールや中性脂肪が増えHDL-コレステロールは減るため、動脈硬化が進む可能性が高まります。また、心臓の機能が少しずつ低下して心不全を引き起こしたり、インスリンの働きが悪くなることで糖尿病を引き起こすこともあります。
成長ホルモンは、骨や筋肉の健康にも大切な役割を果たしています。成長ホルモンの分泌量が減ると、骨が弱くなり、骨粗しょう症や骨折のリスクが高くなるといわれています。さらに、成長ホルモン量の減少は、筋肉量の減少にもつながり、また肌荒れの原因にもなるのです。

成長ホルモンが分泌されるピークは寝始めてから3~4時間後

成長ホルモンが分泌されるのは、主に睡眠中です。1日の分泌量のうち約70%が睡眠中に分泌されると考えられています。特に、最初に訪れるノンレム睡眠(いわゆる深い睡眠。脳が活発に動いている浅い睡眠とは異なり、脳も休息している状態)の間です。つまり、眠り始めてから約3~4時間後が、成長ホルモンの分泌のピークとされています。

夜間帯は成長ホルモンが分泌されるチャンス

では、夜勤などで昼夜逆転の生活を送っている人では、成長ホルモンが出ないのでしょうか?
日中に寝ても成長ホルモンは分泌されます。ただし、夜は成長ホルモンの分泌がより期待できます。成長ホルモンが分泌されるためには、「成長ホルモン分泌ホルモン」や「グレリン」、「ソマトスタチン」といった別のホルモンが関係していますが、こうしたホルモンの動きが夜間に活発になると考えられています。

睡眠中の成長ホルモンと骨の関係

睡眠時間が短いと骨が弱くなるといわれています。 1日の平均睡眠時間が7時間の人と比べて、5時間以下の人では、股関節や大腿骨、脊椎といった部分の骨密度が低くなるという研究があります。

成長ホルモンの分泌が悪くなることで、骨が生成されにくい状態となったり、骨の破壊が進みます。分泌された成長ホルモンが全身の組織へと行き渡るにはある程度の時間が必要になりますので、成長ホルモンが十分に分泌されるという観点では7時間程度眠ることが大切と考えられています。

まとめ

成長ホルモンが分泌されるためには、夜間にしっかりと睡眠時間を確保することが大切です。それとともに、良い睡眠には栄養も欠かせません。特におすすめの食材は、バナナと牛乳です。この2つには、睡眠を促す「トリプトファン」という必須アミノ酸が豊富に含まれています。バナナにはトリプトファンの他にビタミン類も多く含まれていますし、牛乳はトリプトファンの含有量が多いほか、カルシウムやビタミンB群なども豊富で、骨の強化に適しています。

なお、成長ホルモンとは別のホルモンとして、骨の細胞から分泌される「オステオカルシン」というホルモンも、健康や若返りのために大きな注目を集めています。オステオカルシンのような「骨ホルモン」を活性化させるためには、骨密度を高めることが有効です。カルシウム(牛乳・乳製品、小魚)、ビタミンD(魚、干しシイタケ)、ビタミンK(納豆、ブロッコリー)、「MBP」などの骨密度を高める機能が確かめられている成分の摂取もおすすめです。

医療法人幸鷺会 森整形外科リハビリクリニック 院長 。 公益社団法人日本整形外科学会 整形外科専門医 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
管理栄養士・食育インストラクター 2000年からライター・編集者としてメディア制作に従事。業務を通じて食と健康に興味を持ち、2017年に管理栄養士資格を取得。現在は人間栄養学に基づいた健康記事の執筆活動を中心に、健康相談業務にも携わる。

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