
骨の代謝っていったい何のことなのでしょうか?この記事では、骨の代謝とは何なのか、骨が生まれ変わる仕組み、骨の代謝にかかわるホルモン、骨の新陳代謝のバランスを改善するための方法について徹底解説します。
骨の代謝とは?

骨は常に生まれ変わっていることをご存知でしょうか?人の骨は生涯同じものではありません。人間の身体では、約3年で古い骨から新しい骨に生まれ変わっています。骨が生まれ変わる過程で「古い骨をこわして、新しい骨をつくる」ということが繰り返されていますが、この骨の一連の入れ替え作業を「骨の代謝(リモデリング)」といいます。
骨の代謝で、古い骨をこわすのは「破骨細胞(はこつさいぼう)」、そのこわされた骨の部分を修復しているのは、「骨芽細胞(こつがさいぼう)」という細胞です。
破骨細胞は、古くなった骨の表面に貼りついて骨を溶かします。これを「骨吸収」といいます。骨吸収で古い骨が溶けたら、 骨芽細胞がたんぱく質やカルシウム、リンなどの骨の成分を分泌して新しい骨を作ります。これを「骨形成」といいます。骨代謝は、骨吸収と骨形成がともに起こっています。
骨の代謝にはホルモンが関係している!
骨の代謝には、身体から分泌されるホルモンが関係しています。ホルモンは、カルシウムやリンの調整を通じて骨の健康や全身の機能維持をサポートしています。
骨の代謝に関係するホルモンとしては、副甲状腺ホルモン、カルシトニン、ビタミンD、エストロゲンなどがあります。
副甲状腺ホルモン
副甲状腺から分泌されるこのホルモンは、血中カルシウム濃度が低下すると分泌が促進されます。骨からカルシウムを放出させ、血中濃度を上昇させるほか、腎臓や腸でのカルシウム吸収を助けます。
カルシトニン
カルシトニンは、甲状腺から分泌されるホルモンです。血液の中のカルシウム濃度が高いときに分泌が促され、骨へのカルシウム沈着を促進します。これにより、血中のカルシウム濃度を下げ、骨を強化する働きがあります。カルシトニンは、骨粗しょう症や、がんに伴う高カルシウム血症といった病気の治療薬としてよく用いられています。
ビタミンD
栄養素の1つとして知られるビタミン Dですが、実は、体内に吸収されたビタミンD は、肝臓と腎臓で代謝されビタミンD 3に変化することから、ホルモンのひとつと考えられています。ビタミンD が少なくなると、くる病や骨軟化症といった骨の病気になることがあります。ビタミンDは骨粗しょう症の治療薬としても有名です。
エストロゲン
エストロゲンは性ホルモンのひとつで、女性では成長期に増え、閉経した後に減ります。エストロゲンの減少が骨粗しょう症になる原因であることが明らかになっています。
エストロゲンは、骨吸収を抑制して骨形成を促進するという、骨の代謝では重要な役割を果たすホルモンです。骨芽細胞と破骨細胞には、エストロゲンの受容体があります。受容体というのは、特定の鍵にだけ反応する鍵穴のようなものです。鍵がピッタリ合うと、骨芽細胞が骨を作り破骨細胞が骨をこわすスイッチが入るのです。
このほか、副腎皮質ホルモンや甲状腺ホルモンなども、骨の代謝に関係しています。
骨の代謝の状況は血液検査や尿検査でわかる!

加齢によってホルモンバランスが乱れ、カルシウムやビタミンの量が減ると、破骨細胞の働きが骨芽細胞を上回るようになります。
骨吸収>骨形成となってしまうのです。
この骨の代謝の状況は、「マーカー」と呼ばれる、その病気のリスクや健康状態の目印のようなものを血液検査や尿検査で見ることができます。
骨吸収のマーカー:TRACP5b, NTX, DPDなど
骨形成のマーカー:PINP、PICP、ALP、OCなど
骨吸収と骨形成の状況をそれぞれ確認することで、骨代謝全体がうまくいっているのかどうかを調べ、骨量が低下しているかどうか、骨折のリスクがどの程度あるか、骨粗しょう症の治療はうまくいっているかなどを把握します。
まとめ
骨が生まれ変わる仕組みは、骨の代謝として破骨細胞と骨芽細胞の働きがあります。これがうまく働くためにはいくつものホルモンが関係していて、骨代謝の状況は血液検査などで把握ができます。
骨の代謝のバランスを改善するためには、骨の代謝に必要な栄養素をとることも非常に重要です。特にカルシウムは、骨の主な材料ですので、カルシウムをしっかり摂ることで骨代謝のバランス改善が期待できます。
また、骨代謝に有用な「MBP」をご存知でしょうか?「MBP」は、牛乳にわずか0.005%しか含まれていない希少なたんぱく質で、骨代謝で働く破骨細胞と骨芽細胞の二つに、直接働きかけ、骨の吸収と形成のバランスを調整し、骨の新陳代謝を改善してくれます。こうした成分の補給と、運動によって骨への刺激を与え、骨の代謝を改善していきましょう!