日本の成人のおよそ9割が経験したことがあるといわれる腰痛。
腰の骨や関節、その周りの筋肉、神経などに起こる痛みですが、原因がはっきりしないケースも多いとされています。
そんなときに意識したいのが「正しい姿勢」と「骨ケア」です。
普段の姿勢を改善するだけで、痛みが和らぐ人は少なくありません。
さらに将来の腰痛を防ぐために、丈夫な骨をつくることが大切です。
腰痛の原因は様々。生活習慣が影響することも
腰痛の多くは腰椎(腰の骨)への負担や障害が原因とされています。代表的な例は、骨粗しょう症による圧迫骨折、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など。その他、感染症やがん、内臓疾患が原因で起こる腰痛もあります。
一方で、生活習慣やストレス、不眠といった心身の状態も影響します。その場合は通常1~2週間で自然に回復しますが、安静にしていても痛い、足に力が入らない、熱がある、排尿・排便に支障があるなどの場合は、早めに整形外科を受診することが重要です。
腰痛を悪化させる姿勢ワースト3

腰痛の原因がはっきりしない場合は、生活習慣を見直してみましょう。運動不足やストレスの影響も大きいですが、普段の姿勢が悪いと腰に負担がかかり、直接的な腰痛の引き金になります。特に次のような姿勢は注意が必要です。
◎猫背
背中が丸まると腰の筋肉が過度に引き伸ばされ、体重が腰椎に集中します。その結果、腰周りに疲労が蓄積して痛みが起こりやすくなります。
◎反り腰
反り腰は骨盤が前に傾き、腰椎のカーブが強調された状態です。反り腰が続くと、腰の骨と骨の間にある椎間板や神経に圧力がかかり、椎間板ヘルニアなどの深刻な腰痛を招く恐れもあります。
◎脚を組んで座る
脚を組んで座ると片側に体重が偏り、骨盤が歪みます。左右どちらかの腰に過大な負担がかかるため、クセになると全身のバランスが崩れ、慢性的な腰痛を引き起こすリスクが高まります。
腰痛の予防・改善につながる正しい姿勢
腰痛の予防・改善には、立つとき、座るとき、寝るときの姿勢を意識することが大切です。
◎背筋を伸ばして立つ
横から見て、耳・肩・腰・膝・くるぶしが一直線になる状態が正しい立ち姿勢です。胸を張りすぎると反り腰になるため、肩の力を抜いて肩甲骨を軽く寄せるようにします。歩くときも重心が左右どちらかに偏らないように注意しましょう。
◎骨盤を意識して座る
腰かけた際に骨盤が一番安定する位置をキープ。腰椎の自然なカーブをサポートするため、腰当てクッションなどを活用しても良いでしょう。
パソコンを使う際は、モニターを目線の高さに、キーボードとマウスは肘が自然に曲がる位置に調整します。時々立って軽く体を動かすことも大事です。
◎背骨のカーブを保って寝る
仰向けで寝る人は、膝の下にクッションを置くと背骨のカーブを保持しやすくなります。横向き寝の人は、膝の間に枕などを挟むと良いでしょう。うつ伏せ寝は腰が反りやすいためおすすめできませんが、避けられない場合は腰の下に薄い枕を入れると負担が軽減されます。
また、マットレスが硬すぎると身体にフィットせず、柔らかすぎると腰が沈み込みます。自分の体型や寝姿勢に合う寝具を選びましょう。
将来の腰痛に備えて、若いうちから骨ケアを

腰痛は若い世代にも多く見られますが、骨粗しょう症による圧迫骨折や脊柱管狭窄症などは加齢とともに増え、腰痛の原因となります。特に女性は閉経すると骨密度が著しく低下し、骨粗しょう症のリスクが高くなるため、早めに「骨ケア」を始めることが重要です。
骨密度を維持するには、バランスの良い食生活と運動が基本。さらに、牛乳に含まれる希少たんぱく質「MBP」を摂ることで、幅広い年代の骨密度が向上する可能性が示されました。骨密度は20歳前後でピークを迎えますが、骨は毎日つくり替えられているため、骨粗しょう症予防は大人になってからでも遅くありません。
とはいえ、腰痛を発症してからでは運動するのも辛く、食生活の見直しで痛みがすぐに和らぐわけではありません。だからこそ、痛みが出る前の予防が大切。若いうちから正しい姿勢と骨密度を意識して、将来に備えましょう。






