更年期からの骨密度低下を防ぐ!積極的に摂りたい栄養素と食事の工夫

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のぼせ、ほてり、めまい、イライラ、不眠など、更年期特有の症状に悩まされている女性も多いのではないでしょうか。

女性ホルモンが減ると、これらの症状に加えて骨密度も低下しますが、自覚症状がないため見過ごされがち。

そこで今回は、更年期以降の骨の健康を維持するために、意識して摂りたい栄養素と実践しやすい食事の工夫をご紹介します。

女性ホルモンと骨密度の密接な関係

女性ホルモンの分泌が不安定になり、徐々に減っていく更年期。閉経を迎えるとほとんど分泌されなくなりますが、女性ホルモンのエストロゲンには、骨の健康を守る重要な役割があります。

骨は古くなったら壊され、そこに新しい骨がつくられることで健康が保たれています。エストロゲンは骨を壊す細胞(破骨細胞)の働きを抑える役割があるため、分泌が減ると骨を壊すスピードが速くなるのです。

骨を壊すスピードがつくるスピードを上回ると、骨密度が低下していきます。そのため、更年期以降は骨をつくる細胞(骨芽細胞)を活性化させることが重要です。

骨芽細胞の働きを助ける栄養素とは?

骨をつくる骨芽細胞は、歩いたり筋トレをしたりすることで活性化されますが、食事でしっかり栄養を摂ることも大切です。特に意識して摂りたい栄養素は次の3つです。

1.カルシウム

骨の材料となる成分で、成長期を過ぎると吸収率が低下します。日本人の多くが不足しているといわれる栄養素です。

<含まれる食品>牛乳・乳製品、小魚、大豆、切干し大根、青菜

2.たんぱく質

筋肉のイメージが強いですが、骨の約3割はたんぱく質でできています。

<含まれる食品>肉、魚、卵、大豆、牛乳・乳製品

3.ビタミンD

カルシウムの吸収を助ける栄養素で、日光に当たることで体内でも合成されますが、女性は特に不足しやすいとされています。

<含まれる食品>鰯、鮭、鯖、きくらげ

4.ビタミンK

「オステオカルシン」というホルモンを活性化し、骨にカルシウムを沈着させる働きがあります。オステオカルシンは血糖値の調整やエネルギー代謝などにも関わっており、「若返りホルモン」として注目されています。

<含まれる食品>納豆、わかめ、ほうれんそう、モロヘイヤ、ブロッコリー

気楽に美味しく!食事作りのストレスを減らそう

食生活が大事だと分かっていても、献立を考え、買い物に行き、料理を作って後片付けまで行うという一連の流れは、ストレスになることもあります。ストレスは更年期の症状だけでなく、骨の健康にも悪影響を与える可能性があるため、「無理をしない」ことが肝要です。

食事作りの工夫として、スーパーのお惣菜や冷凍食品、カット野菜などを上手に取り入れたり、便利な調理家電を活用したりするのはいかがでしょうか。調理自体も「焼くだけ」「茹でるだけ」「炒めるだけ」といったシンプルな方法を中心にすることで、負担を軽減できます。

おすすめは「蒸すだけ」です。色々な食材を同時に調理でき、食材の旨味を逃がさないので、少ない調味料で美味しく食べられます。

また、市販のマリネ液や調味酢を使えば、作り置きも簡単です。プチトマトやカット野菜を漬けて、冷蔵庫で半日ほど「ほったらかし」。蒸し大豆や鯖缶を一緒に漬ければ、たんぱく質とカルシウムも補えます。

更年期の症状が辛いときは、「きちんと作らなければ」という考えをいったん手放し、できる範囲で工夫してみましょう。

食べる元気がないときも骨は守りたい

更年期は気分が落ち込みやすく、「食欲がわかない」「料理をする気になれない」と感じることもあります。そんなときは、すぐに食べられて、効率よく摂りたい栄養素を補える食品を選びましょう。

例えば、ヨーグルトやチーズなどの乳製品は、カルシウムとたんぱく質の供給源として優秀。ビタミンDを強化した乳飲料や卵なども売られているので、活用してみても良いかもしれません。

さらに、骨密度低下が加速する更年期以降は、「MBP」という機能性成分もおすすめ。「MBP」は牛乳に含まれる希少たんぱく質の一種で、骨をつくる働きをサポートすることが研究で示されています。

辛いときに「食べなきゃ」と無理をするより、今の状態を受け入れながら、賢い選択で骨を守りましょう。

まとめ

更年期の不調は2~3年で落ち着くことが多いといわれますが、その間の食生活が骨密度に大きく影響します。更年期後の長い人生をアクティブに楽しむために、カルシウム、たんぱく質、ビタミンD、ビタミンKを不足しないように摂ることが大切です。 基本は1日3食、バランスの良い食生活を心掛けつつ、毎日の食事作りがストレスにならないよう、気楽に構えて上手に手間を省きましょう。

管理栄養士・食育インストラクター 2000年からライター・編集者としてメディア制作に従事。業務を通じて食と健康に興味を持ち、2017年に管理栄養士資格を取得。現在は人間栄養学に基づいた健康記事の執筆活動を中心に、健康相談業務にも携わる。

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