「骨卒中(こつそっちゅう)」という言葉を知っていますか?骨卒中とは、骨粗しょう症に伴う骨折のことで、軽い外力でも起こるのが特徴です。これまで元気に生活していた人でも、発症をきっかけに生活機能が低下し、寝たきりや要介護状態に至るリスクが高まることから、高齢化の進行とともに、注目されています。骨卒中は、健康なうちから骨を強く保つことが予防の第一歩。
この記事では、骨卒中の原因やリスク、今日から実践できる予防法について解説します。
元気な人でも起こり得る「骨卒中」とは?
「卒中」の「卒」は「卒然(突然)」、「中」は「当たる」を意味し、「突然(悪いものに)当たる」ことから、突然発症する病気を指します。
「骨卒中(こつそっちゅう)」は、骨粗しょう症にともなう骨折のことで、それまで健康で元気だった人でも、たった一度の骨折がきっかけでその後の生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。
特に高齢者の場合、日常生活での軽い転倒でも骨折につながることがあります。
注意すべきは、大腿骨(太ももの付け根)や背骨(脊椎)の骨折です。強い痛みを伴ううえ、長い期間の入院やリハビリ、安静な状態を余儀なくされます。
それによって筋力の低下や血流の悪化、認知機能の低下が進み、寝たきりになるリスクも高まります。女性で介護が必要となる主な原因の約15%は骨折であるという統計もあります。
こうした事態に注意を喚起するため、「骨卒中」という用語がつくられました。
骨卒中はなぜ起こる?考えられる原因

骨卒中が危険とされるのは、今までと同じ日常生活が送れなくなるだけでなく、いずれ命に関わるケースもある点です。高齢になって寝たきりの状態が続くと、骨や筋力、体力は急速に衰えていきます。さらに、肺炎や血栓症、褥瘡(じょくそう:床ずれ)などの合併症が起き、重篤な状況にもなりかねません。
骨卒中の大きな要因のひとつが、骨密度の低下です。年齢とともに骨をつくる働きが弱まり、骨粗しょう症が進行すると、軽い転倒やくしゃみでも骨折することがあります。
また、骨だけでなく筋肉やバランス感覚の低下も影響します。筋力が落ちるとふらつきやすく、特に太ももや背中の筋力が衰えると転倒しやすくなり、骨卒中のリスクが上がってしまうのです。
加齢以外にも、運動不足、喫煙、過度の飲酒、偏った食事といった生活習慣が、骨や筋肉の衰えを早める大きな要因になります。
さらに女性の場合は、閉経による女性ホルモン(エストロゲン)の減少や栄養不足が骨密度低下につながります。
骨卒中を防ぐために取り入れたい食習慣
骨卒中を防ぐ第一歩は、骨を強く保つことです。そのためには日々の食事からの栄養補給が欠かせません。
●骨の健康を支える栄養素
<カルシウム>
骨の主要成分。牛乳、ヨーグルト、チーズ、小魚、小松菜などに多く含まれます。
<ビタミンD>
カルシウムの吸収を助ける栄養素。鮭、鯖、卵、きのこ類に豊富で、日光を浴びることでも体内でつくられます。
<ビタミンK>
カルシウムの骨への定着を助ける栄養素。納豆、ブロッコリー、ほうれん草などが代表的です。
<たんぱく質>
骨の土台であるコラーゲンを構成。肉・魚・卵・大豆製品をバランスよく摂ることが大切です。
<「MBP」>
骨密度を高める機能が確認されている希少なたんぱく質。
●控えたい食生活
塩分やカフェイン、アルコールの摂りすぎは、カルシウムの排出を促すため注意が必要です。また、極端なダイエットや食事制限も骨密度を低下させる原因になります。「食べない」よりも「バランスよく食べる」ことを心がけましょう。
今日から始めたい!骨卒中対策の生活習慣

骨卒中そのものを防ぐことはもちろん、もし骨卒中になってしまったときに骨折からより早く回復できるための身体づくりも不可欠です。
●適度な運動
骨は「刺激」によって強くなります。ウォーキングや軽いスクワット、階段の上り下りなど、骨にほどよい負荷をかける運動を、体調や年齢に応じて可能な範囲で、1日30分程度を目安に行うのが理想的です。
●日光浴
日光を浴びることで、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが体内で合成されます。天気のよい日には1日15分程度、手や顔に日を当てるだけでも効果的です。
●転倒を防ぐ環境づくり
骨卒中の多くは転倒がきっかけです。室内の段差をなくす、手すりをつける、夜間は足元を照らす照明を設置するなど、住環境の安全対策も備えておきましょう。
●定期的な検査
年に1回は、骨密度検査を受けて自分の骨の状態を把握しておきましょう。骨粗しょう症の兆候は早期発見が大切です。
●心身の健康維持
ストレスや睡眠不足は、ホルモンバランスを乱し、骨の代謝にも悪影響を与えます。しっかり休み、笑い、リラックスする時間を持つことも骨の健康につながります。
骨卒中は、突然起こる可能性がある深刻な問題ですが、防げないものではありません。日々の小さな積み重ねが最大の予防策。「まだ大丈夫」と思っている今こそ、骨を守る生活を始めましょう。





