【医師監修】ロコモティブシンドローム(ロコモ)って何?“歩く力”を支える運動器の話

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腰が痛い、しゃがむと立ち上がるのが大変、つまずきやすくなった──
40代・50代から増えてくる、そうしたお悩みの背景に、ロコモティブシンドローム(ロコモ)があるかもしれません。
ロコモは放っておくと要介護の要因となるため、早めに気づいて生活習慣を見直すことが大切です。
今日からできるロコモ対策を一緒に見ていきましょう。

ロコモティブシンドロームの基礎知識─フレイルとどう違う?

ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは、骨や筋肉などの運動器が衰えることで、立ったり歩いたりといった移動のための機能に障害をきたした状態を指します。
英語の「locomotive(移動能力がある)」と「syndrome(症候群)」を組み合わせた言葉で、2007年に日本整形外科学会が提唱した概念です。

運動器とは、骨、筋肉、関節、神経などの総称で、移動だけでなく、座って行う作業や生活動作も含め、身体を動かすために欠かせない仕組みのこと。運動器は40代・50代から弱り始めるといわれていますが、自覚がない方も多いです。

ロコモが進行すると移動が困難になるため、家の中に閉じこもってしまいがちになります。動かなければ食欲も出ず、栄養が不足して身体が弱ってしまいます。このような状態を「フレイル」といい、心身の活力が低下して要介護のリスクが高まった虚弱状態を意味します。

ロコモとフレイルの違いを簡単に整理すると、
◎ロコモは運動器(骨、筋肉、関節など)の衰えによって、立ったり歩いたりがつらい状態
◎フレイルは運動器を含めた身体面だけでなく、精神的、社会的にも弱った状態
といえます。

運動器は連携して働く─身体が動く仕組みについて

ロコモを理解するうえでポイントになるのが運動器の仕組みです。
私たちが手足を動かすとき、無意識だとしても脳から「動け」という信号が出ています。それが神経を通って筋肉に伝わり、筋肉が収縮することで、つながっている骨や関節が動きます。
つまり、運動器はチームプレー。動作に関わる神経・筋肉・骨・関節などのどこかひとつでも弱ると、動きがぎこちなくなったり、痛みが出たりするのです。

腰や膝に痛みがあると動くのが億劫になり、動くのが少ないと筋力低下や骨密度の低下を招きます。その結果、気づかないうちに骨粗しょう症が進んでいることも少なくありません。
特に女性は筋肉量が少なく、女性ホルモンの減少とともに骨密度が低下するため、閉経後は骨粗しょう症と腰痛や関節痛を併発しやすいといわれています。
少し痛みが出てからでも遅くはありませんが、できるだけ早くケアすることが大切です。

もしかしてロコモかも?まずはセルフチェック!

一般的に運動器の機能低下は40代から始まるとされています。「まだまだ若い」と思っていても、高さ40cmの椅子から片脚で立ち上がれない人は要注意。どちらか一方の脚で40cmの椅子から立ち上がれない場合、筋力やバランス力が落ち、移動機能の低下が始まっていると考えられます。
そのまま同じような生活を続けると、70代で歩けなくなることもあるため、心配な方は整形外科のある医療機関などでテストしてもらうと良いでしょう。

また、自分がロコモかどうかを簡単に確かめられる専門サイトもあります。
例えば、「片脚立ちで靴下が履けない」「横断歩道を青信号で渡りきれない」など、7つの項目をチェックするもので、1つでも当てはまればロコモのリスクがあります。

スマートフォンを使って移動機能の健康度を測定するコンテンツもあり、年齢・性別・体重などのプロフィールと生活習慣を登録し、身体の状態や生活状況に関する質問に答えることで、現時点の移動能力を年齢として意識することができます。
3ヶ月に1回ほど測ってみると、身体の変化に気づきやすくなりますのでおすすめです。

〈参照〉 日本整形外科学会:ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト ロコモオンライン 
https://locomo-joa.jp/locomo

ロコモ予防は「動く」「食べる」「続ける」が大事

ロコモを防いで移動能力を保つには、定期的な運動習慣が欠かせません。
厚生労働省が推進する「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」によれば、成人は歩行以上の身体活動を1日60分と、週2~3回の筋トレが推奨されています。
高齢者は「片脚立ち」や「スクワット」で、バランス能力と脚の筋力を鍛えるのがおすすめ。日本整形外科学会ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイトで詳しいやり方が紹介されていますので、ぜひチェックしてみてください。

また、骨粗しょう症の予防には、ウォーキングや軽いジャンプ運動(縄跳びなど)も効果的です。着地時の衝撃が、骨をつくる骨芽細胞を刺激することが知られています。

そして、運動と同じくらい大切なのが食事です。栄養が不足すると、筋肉や骨を維持できません。まずは「1日3食、主食・主菜・副菜を揃える」ことを意識して、エネルギーとたんぱく質をしっかり摂りましょう。

特に骨の健康を考えた場合、カルシウムとビタミンDが不可欠です。朝のコーヒーを牛乳たっぷりのカフェオレにする、おやつにチーズやヨーグルトを選ぶ、週3回は魚料理をメインにするなど、食生活を工夫してみましょう。

まとめ

ロコモティブシンドロームは、年齢を重ねれば誰にでも起こりうる状態ですが、早めに気づいて対策すれば、進行を防ぐことができます。
いつまでも自分の足で歩けるように、運動と食事の工夫を習慣にして、毎日続けていきましょう。

医療法人幸鷺会 森整形外科リハビリクリニック 院長 。 公益社団法人日本整形外科学会 整形外科専門医 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
管理栄養士・食育インストラクター 2000年からライター・編集者としてメディア制作に従事。業務を通じて食と健康に興味を持ち、2017年に管理栄養士資格を取得。現在は人間栄養学に基づいた健康記事の執筆活動を中心に、健康相談業務にも携わる。

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