「フレイル」という言葉を聞いたことはありますか?
フレイルとは、加齢とともに体力や気力が低下した状態のこと。心身の機能が低下し、放っておくと要介護へと進んでしまう可能性がある段階とされています。
40~50代になると、親の介護が気になり始める人も多いでしょう。自分自身も少しずつ衰えを感じる年齢です。
親も自分も、いつまでも自立した生活を送れるように、フレイルについて正しく知っておきましょう。
まだ知らない人も多い「フレイル」に社会が注目する理由
フレイルは、「か弱さ」「もろさ」を意味する「frailty」の訳語で、2014年に日本老年医学会から提唱されました。それまで「虚弱」や「老衰」と表現されていた、加齢によって心身が衰えた状態を指し、要介護の前段階と位置づけられています。
東京都江戸川区の調査によれば、フレイルの「意味まで知っている」と答えた人は3割程度。「聞いたことがある」を含めても6割ほどだったそうです。まだ十分に知られている言葉ではありませんが、様々なメディアでよく取り上げられています。
フレイルへの関心が高まっているのは、
◎年を取れば誰にでも起こりうる変化である
◎早く気づいて適切なケアをすれば、元気な状態に戻る可能性がある
◎単に身体が弱った状態だけを指すわけではなく、「身体的フレイル」「心理的フレイル」「社会的フレイル」が互いに影響し合って進行する
といった理由が考えられます。
身体だけじゃない!3つのフレイルとそのリスク

「身体的フレイル」は、筋力の低下や骨密度の減少などによって、身体の機能が低下した状態です。歩くのが遅くなる、疲れやすい、体重が減るなどの変化が見られ、運動不足や低栄養などがリスクになります。
特に見落とされやすいのが「骨」の変化です。骨密度の低下は自覚症状がほとんどないまま進行し、転倒や軽い衝撃でも骨折につながるリスクを高めます。骨折をきっかけに活動量が低下し、そのまま筋力低下や要介護状態へと進行するケースも少なくありません。
「心理的フレイル」は、気分の落ち込みや意欲の低下、認知機能の衰えなどが該当します。以前は楽しんでいたことに興味がなくなったり、人と話すのが億劫になったりしたら要注意です。
「社会的フレイル」は、人や社会とのつながりが弱くなり、生活に支障をきたした状態です。退職やパートナーとの別れなどをきっかけに、家に閉じこもりがちになることもあります。
高齢になると、身体や心、生活にも変化が起こりやすく、様々な要因が重なって悪循環を招きます。
筋力・体力が衰える⇒出かけるのが億劫になる⇒意欲が出ない⇒活動量が減る⇒食欲が落ちる⇒骨や筋肉の維持に必要な栄養が不足する⇒ますます身体が弱る…といった具合です。
こうした変化はゆっくり進むことが多いため、まずは小さな変化に気づくことが大切です。
親のフレイル予防をきっかけに、自分の未来に目を向けよう
フレイルの早期発見の目安として、国立長寿医療研究センターが示している基準(J-CHS基準)があります。
◎体重減少:意図せず、半年で2kg以上の減少
◎握力の低下:男性28kg未満、女性18kg未満
◎疲れやすさ:わけもなく疲れた感じが2週間続く
◎歩く速さの低下:秒速1m未満
◎身体活動量の低下:軽い運動やスポーツを週に1回もしていない
上記5項目のうち3つ以上に当てはまるとフレイルが疑われます。
親の様子を思い浮かべて、心配になった方も多いでしょう。
一方で、自分はまだ大丈夫と思っている方も油断は禁物です。
実は、40~50代のフレイル予備軍(プレフレイル)も少なくないと言われています。
仕事が忙しくて帰宅後は寝るだけ、食事は外食(糖質や脂質が過多になりやすいです)中心、定期的な運動習慣がない…といった現役世代が陥りがちなライフスタイルは、身体的フレイルのリスクを高めると考えられます。特に骨密度は40代頃から徐々に低下するため、生活習慣を見直しましょう。
健康的な食事と運動で、早いうちから身体的フレイルを予防

身体的フレイルを予防するポイントは、筋肉と骨の健康維持です。食事ではたんぱく質とカルシウムを十分に摂る必要があります。
たんぱく質は、脂身の少ない肉や魚、大豆食品、卵を偏りなく組み合わせ、朝・昼・夕の3食で均等に摂るのがベスト。1食の量の目安は、片方の手のひら(指を除く)に収まる大きさ・手のひらくらいの厚みがちょうど良いとされています。
カルシウムは加齢とともに吸収率が低下するため、牛乳や乳製品、大豆、小魚、青菜などを意識して摂ることが大切です。さらに、骨の新陳代謝を整える機能性成分「MBP」を毎日の食生活に取り入れることで、骨密度の維持・向上が期待できます。
運動も重要です。高齢の親世代では、散歩や買い物、家事などで1日10分でも、今より多く動くことが推奨されています。
一方、現役世代は1日60分以上の歩行または歩行と同程度の身体活動に加えて、息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上行いましょう。運動の時間を取りにくい場合は、できるだけ階段を使う、テレビを見ながらスクワットをするなど、少しずつでも毎日コツコツ続けることが大切です。
親のフレイルは、将来の自分自身の姿かもしれません。10年後、20年後の元気のために、今のうちからできることを考えてみませんか。




