成人の5人に1人が糖尿病かその予備軍といわれる時代。30~40代になると、まわりに糖尿病と診断された方もいらっしゃるかもしれません。
もしも糖尿病になったら、骨粗しょう症にも注意する必要があります。糖尿病のために骨粗しょう症が進行し、骨折して寝たきりになる人が少なくないのです。
食事制限や運動療法の話を聞いて「大変だな…」なんて、のんびり構えている場合ではありませんよ。
糖尿病により骨粗しょう症が悪化
糖尿病は血糖値が高い状態が続く病気です。そのまま放っておくと、腎障害や動脈硬化など様々な合併症が起こります。
実は、糖尿病になると骨粗しょう症になりやすくなります。糖尿病の人は骨が弱くなりやすく、骨折のリスクが高まることが分かっています。
糖尿病で骨が弱くなる理由
骨の強さは「骨質」と「骨密度」で決まります。
骨を鉄筋コンクリートの建物に例えると、コラーゲンが鉄筋、カルシウムがコンクリートにあたります。おおざっぱに言えば、その鉄筋の品質が「骨質」で、コンクリートの量が「骨密度」です。良質な鉄筋を十分なコンクリートで覆い固めることで、強い建物、強い骨になるわけです。
糖尿病の人は骨質の低下が特徴的で、骨質が低下する原因としては、「酸化ストレス」や「インスリン抵抗性」が関係していると言われています。
「酸化ストレス」とは、活性酸素によるダメージのこと。血糖値が高くなった時も酸化ストレスが増加し、骨のコラーゲンにダメージを与えるのです。
「インスリン抵抗性」は、血糖値を下げるインスリンというホルモンが効きにくい状態を意味します。つまり、インスリンの分泌量は十分でも、血糖値がなかなか下がりにくくなるため、酸化ストレスの増加につながります。
糖尿病の人は転びやすい!?
骨が弱くなると、ちょっと転んだだけで骨折するかもしれません。しかも、糖尿病の三大合併症である「し・め・じ」は、転倒リスクを高めると考えられます。
「し」は神経障害、「め」は目の網膜症、「じ」は腎症です。
まず、糖尿病が進行すると神経障害が起こり、足裏の感覚が鈍くなります。網膜症によって視力が低下すると、余計に足元がおぼつかなくなるでしょう。
そもそも糖尿病の人は骨質が低下していますから、転んで骨折するとなかなか治りません。そのまま寝たきりになる恐れもあるため、血糖値のコントロールと合わせて、骨のケアをすることが大切です。
骨のケアは早いほうがよい!
糖尿病の進行を防ぐには、血糖コントロールがもっとも重要です。それが骨質の劣化や骨折を防ぐことにつながります。血糖コントロールの基本であるバランスの良い食事と適度な運動は、骨にも良い効果があるでしょう。
骨質に影響するコラーゲンの質や量は、糖尿病でなくても加齢とともに徐々に低下します。これを補うためにも、若いうちから骨密度を高めておきましょう。
食事で積極的に摂りたいのは、カルシウムとビタミンDです。カルシウムは乳製品、小魚、大豆、青菜などに含まれます。ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあり、鮭、鯖、シラスなどの魚や、天日干ししたきのこに含まれます。
さらに、牛乳にほんの少し含まれる「MBP」という成分にも注目。「MBP」は骨の新陳代謝を改善することで、骨密度を高める作用が認められています。
まとめ
糖尿病は病気が遺伝するわけではありませんが、糖尿病になりやすい体質や生活習慣は受け継がれます。親や兄弟が糖尿病になったら自分もなる可能性が高いと思って、今のうちから骨折のリスクをできるだけ下げておきましょう。