「まさか自分が骨折するなんて」——そう思っていた方が、ある日突然つまずいて骨折。入院や通院で生活は一変し、家族の負担も増えていく……。実は、こうしたケースは決して珍しくありません。
人生100年時代、老後の資金計画に注目が集まっていますが、見落とされがちなのが「骨折」による経済的な落とし穴。介護費用が1,800万円に上ることも。
このコラムでは、ファイナンシャル・プランナーの飯田道子氏と整形外科医の矢吹有里氏が、データをもとに骨折のリスクと、それを防ぐための「骨投資」という新しい考え方をわかりやすくお伝えします。
身近に潜む骨折リスク—入院に至る人は40%
「骨折なんて、高齢者や運動選手の話でしょ?」
そう思っている方も多いかもしれません。しかし、『骨太な未来プロジェクト』が30代〜80代の男女を対象に行った調査では、過去に骨折した方の4人に1人が骨粗しょう症または骨密度の低下を指摘されています。
骨折の原因で最も多いのは「転倒」で、実に68.6%。日常のちょっとしたつまずきが、大きなケガにつながってしまうのです。骨折した部位は、大腿骨(太もも)と肋骨が上位を占めました。


さらに見過ごせないのが、骨折後の生活への影響です。骨折を経験した方の40.5%が「入院することになった」と回答。

骨折がきっかけで、それまでの暮らしに戻れなくなるケースも少なくありません。
骨折がもたらす2つのリスク
経済的なリスク:介護費用は平均約1,800万円
骨折がきっかけで介護施設に入所するケースは少数ですが、入所した方36人を対象にした調査から試算すると、その費用は平均で約1,800万円。医療費だけでなく、介護費用として中長期的に家計を圧迫するリスクがあるのです。
・骨折時の介護費用の試算は次の通りです
骨折時の介護費用=入所一時金+(月額介護費用×平均入所期間)
入所一時金、月額介護費用の出典元:株式会社LIFULL seniorによる「2025年10月時点のLIFULL介護費用相場データ」
平均入所期間の出典元:雪印メグミルク:骨折による費用や損失に関する実態調査(※1)

精神的なリスク:本人も家族もつらい
経済面だけではありません。調査では、サポートする側・される側ともに「精神的につらかった」という回答が最多でした。


特に負担が大きいのは「通院」。病院やリハビリ施設への送り迎え、入浴や着替えのサポートなど、家族やパートナーの負担は想像以上に重くなります。

骨折予防に “骨投資”を
「骨投資」とは、将来の骨折リスクを防ぐために、今から骨の健康に先行投資すること。
具体的には、カルシウムやビタミンD、骨密度を高める「MBP」などの栄養を食事で摂ること、適度な運動、日光浴などが挙げられます。毎日の積み重ねで骨密度や骨質を高め、骨折しにくい強い骨をつくっていくのです。
ファイナンシャル・プランナー 飯田 道子氏 コメント
骨折が原因で介護施設に入所した場合、平均で1,800万円もの費用がかかるという調査結果に驚いた方も多いのではないでしょうか。世間の関心を集める「老後2,000万円問題」は、あくまで健康的な生活を送れるという前提があってのこと。骨折に起因する長期入所や高額な支出を避けるためにも「骨投資」は将来的な経済損失を防ぐ効果的な先行投資と言えるでしょう。
骨投資の3つのメリット

骨投資のメリットは、経済的な負担を減らすだけではありません。矢吹医師によると、精神的な負担の軽減や、健康・美容面でもうれしい効果が期待できるそうです。
ゆりクリニック 院長 矢吹 有里先生 コメント
今回の調査で、骨折した方の4人に1人が骨粗しょう症もしくは骨密度が低下していることがわかりました。骨密度が一定数値を下回ると骨粗しょう症と診断され、わずかな衝撃でも骨折し、寝たきりや介護の原因となります。もし介護が必要となった場合は、サポートする側とされる側の双方に精神的負担が生じます。
骨投資を通じて骨の健康をケアすることは、ご自身のみならずご家族の精神的負担を低減することにもつながると言えるでしょう。
また、骨を健康に保つことは容姿の美しさにもつながります。じつは骨密度が低下すると、顔の骨が委縮して「骨やせ」が起こります。頭蓋骨は30代から骨密度が低下し、顔の筋肉を支えるじん帯が緩み、皮膚のしわやたるみの原因にもなるのです。
肌などへの外側からのケアだけでなく、骨を内側からケアすることで骨やせを予防し、身体の芯から美しい体を目指していきましょう。
「老後2,000万円問題」が話題になるように、老後の生活資金への不安は尽きません。しかし、その資金計画の土台となるのは「健康であること」。特に、骨折のように高額な費用がかかるリスクをいかに避けるかが、ライフプランニングでは大切です。
骨投資は、骨折予防であり、将来の経済的リスクへの有効な対策でもあります。日々の「骨投資」の積み重ねで、経済的な不安の少ない「骨太な未来」を築いていきましょう。
■調査概要
【調査名】骨折に関する意識・実態調査
【調査期間】<本調査>2025年9月12日(金)~9月18日(木)
【調査方法】インターネット調査
【調査対象】
<本調査> 調査人数1,000人(③④各500人)
③過去に骨折経験があり、親または配偶者・パートナーにサポートされた方(50代~80代男女)
④過去に親または配偶者・パートナーが骨折してサポートした経験がある方(30代~70代男女)
※1:
【調査期間】<本調査>2025年9月12日(金)~9月18日(木)
<追加本調査>2025年10月30日(木)~31日(金)
【調査対象】調査人数1,885人





