
コロナ禍以降、免疫力を高めるために腸活を始める方が増えています。
でも、腸活の効果を免疫力で判断するのは、素人には難しいのではないでしょうか。
そこで注目したいのが「便」。
腸内環境が良い人と悪い人では、便に大きな違いがあります。
また、腸内環境は栄養状態にも関わり、栄養状態は骨の健康に影響します。
免疫アップだけでなく、丈夫な骨をつくるために、便のチェックを習慣にしましょう。
そもそも腸内環境とは?

腸内環境と免疫の関係が注目されていますが、「そもそも腸内環境って何?」と思っている方も少なくないでしょう。簡潔に言えば、腸内環境は「腸内に生息する細菌のバランス」です。
腸内には約1,000種類、100兆個もの細菌が生息しているといわれます。それらは「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」という3つのグループに分けられ、その数と割合によって、腸内環境の良し悪しが決まるのです。数は多いほうが良く、割合は善玉菌2割、悪玉菌1割、日和見菌7割が理想とされています。
ちなみに、善玉菌は人間にとって良い物質をつくるから「善玉」と呼ばれ、悪玉菌はその逆です。日和見菌は善玉にも悪玉にもなりうる菌で、善玉菌が優勢のときは善玉に、悪玉菌が優勢のときは悪玉になります。
腸内環境の良し悪しは「便」に表れる

腸内環境は個人差が大きく、食事やストレスなどの生活習慣によっても変わります。腸の中にどんな細菌がどれくらい生息しているかは直接確認できませんが、おおよその状態なら「便」を見れば分かるといわれています。
腸内環境が良い人の便は、バナナ状もしくは蛇がとぐろを巻いているような形で、色は黄色から茶褐色。表面が滑らかで軟らかく、臭いもそれほど強くありません。量はバナナ1~2本分が目安とされ、毎日決まった時間に、いきまずスルッと出るのが理想です。
反対に、腸内環境が悪い人の便は、硬くてコロコロしていたり、ドロッとして形があいまいだったり、水っぽかったりします。色もこげ茶や黒色に近く、臭いがきついのも特徴です。
便の臭いは、悪玉菌がつくるアンモニアやインドール、スカトールといった有害物質が原因。これらが腸内に溜まると、おならも臭くなります。
また、腸内で発生した有害物質は腸から吸収され、血流にのって全身を巡ります。その影響が表れやすいのが肌です。「肌は腸を映す鏡」といわれ、悪玉菌が増えて腸内環境が悪くなると、ニキビや肌荒れなどの肌トラブルが起こりやすくなります。
腸内環境が良い人は栄養状態も良い
腸内細菌はさまざまな物質をつくり、その物質が全身の健康に影響を及ぼします。悪玉菌は身体に悪い物質をつくりますが、善玉菌は何をつくっているのでしょうか。
実は、骨の健康と深く関わるビタミンKや、代謝を助けるビタミンB群の一部は、腸内の善玉菌がつくっています。ビタミンB群は食事で補う必要がありますが、ビタミンKは腸内環境が正常な成人であれば、ほとんど不足することはないとされています。
近頃話題の「短鎖脂肪酸」も、善玉菌がつくる物質のひとつです。短鎖脂肪酸が増えると腸内が酸性に保たれ、悪玉菌の繁殖が抑えられます。さらに、カルシウムや鉄などのミネラルは酸に溶けて吸収がアップするため、栄養状態も良くなるでしょう。
また、短鎖脂肪酸は腸の細胞のエネルギー源となり、ぜんどう運動を促進します。腸の運動が活発になれば便秘や下痢の改善が期待でき、便の状態も変わってくるでしょう。それだけでなく、腸から吸収されて血中に入った短鎖脂肪酸は、脂肪の蓄積を抑えたり、血圧を調節したりする効果が報告されています。
腸内環境を整える食生活のポイント
腸内環境を整えるには、生活習慣全体を見直す必要がありますが、特に重要なのは食事です。腸内細菌は私たちが食べたものをエサにして生きているため、善玉菌のエサとなる食品を積極的に食べると良いでしょう。
腸内の善玉菌の代表格である乳酸菌とビフィズス菌は、食物繊維とオリゴ糖を好みます。食物繊維といえば野菜のイメージが強いかもしれませんが、善玉菌の種類を増やすには、果物や海藻、きのこ、豆、芋、穀類など、いろいろな食品から食物繊維を摂ることが大切です。オリゴ糖は、きなこ、ごぼう、玉ねぎなどに多く含まれています。
また、発酵食品に含まれる善玉菌を摂ることも有用。例えば、ヨーグルトやぬか漬けには乳酸菌やビフィズス菌が含まれており、腸内環境の改善に役立つとされています。
腸内環境が良い人は、食物繊維やオリゴ糖を含む食品や発酵食品をよく食べているのではないでしょうか。さらに、3食きちんと食べることも大事です。食べる量が少ないと腸のぜんどう運動が起こりにくく、便秘や下痢になりやすいといわれます。
骨や全身の健康を維持するために、食生活を見直し、快便を目指しましょう。
腸内環境を改善する食べ物はこちらの記事で詳しく解説しています。